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2005.03.06

『バイトでウィザード(7) したがえわが宿命に、と少女は呟いた』

バイトでウィザード(7) したがえわが宿命に、と少女は呟いた』を読了した。面白かった。『タマラセ』が新伝綺ならこれも相当に伝奇だと思うのだがなあ…。

この作品の特異な点というのが、ちょっとライトノベルとしてはどうなの?と言いたくなるぐらいの社会など大人のシステムの強固さが挙げられると思う。主人公である京介が所属する光流脈使い達の組織は、大地を走る力の源「光流脈」を用いて術を操る組織であり、京介はそこに所属する矯正術者あるのだが、矯正術者というのは、まさしく組織にとっての歯車であり消耗品である。その組織自体がすでにトップ達の権力争いの場と成り果てており、さらに言えばその運営目的も何らかの崇高な目的を掲げた組織ではなく単なる既得権益の確保を行っているに過ぎなかったりする。そこにいる大人達も組織の存続が第一で、京介たち一個人の感情には斟酌してなどくれないシビアな場所である。この物語では、主人公達は体制と秩序に従属することを義務付けられ、彼らを「肯定」してくれる優しい空間などはどこにも無い。「萌え」も「燃え」も「癒し」も「泣き」もない。要するにライトノベルと読むからおかしくなるのであって、サラリーマン小説として読めば何の問題も無いと思われる(そうかな…)。

ついに7巻目になって、物語もクライマックスに…なっているのか?なんとなく「敵」らしきものがようやく現れ敵対的な関係に陥っては来ているが、「敵」の正体も規模も分からない現状ではなんとも言えない。ただ、これまで無感情、無愛想、無感動であった京介が、彼をそのようにした過去と向き合う事で、それまで先延ばしにしてきた「決断」に対するツケを払わされる。選びようの無い決断を迫られる中、もう一度失う恐怖に晒された京介は必死に足掻き続けるが…という話。大変素晴らしい。
成る程、クールといえば聞こえは良い京介は、単に「選択」と「決断」を放棄してきただけに過ぎなかったのだね。その決断の葛藤に晒された彼は、うろたえ、迷う。しかしその迷いは人間としては当然のものだし、生きていく事だけでも某かの道を選び取らざるを得ないというのは誰でもやっている事なのである。この主人公はようやく試練に晒されつつあるのだろうな。

うーん、続きが気になるなあ。

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