『エマ(1)』読了
『エマ(1)』
(久美沙織/ファミ通文庫)
とても面白かった。
アニメ化も決まった森薫の漫画を、久美沙織がノベライズ。どうやら、エンターブレインはこの作品にかなり力を入れている様子です。表紙、口絵ともに森薫の書き下ろしが入っていたり、なじみの無い用語に(注)が入っていたりと手の入れ方が半端でありません。いい仕事しているなあ。
原作では仕草や表情にこめられていた登場人物たちの心情を久美沙織の解釈に基づいて描かれており、原作とはストーリー的にはまったく同一でありながら別の角度から焦点を当てる事に成功していて面白かった。ノベライズのお手本のような作品ですね。元々、久美沙織はノベライズにおいてもいくつもの名作を生み出しており(MOTHERやドラゴンクエストは今でも傑作だと思う)その手腕が遺憾なく発揮されたと言っても良いでしょう。
部分的に久美沙織の「解釈」があったりして、原作を知っているほどにいろいろな発見がありますね。キャラクター描写についても森薫の原作の印象を壊さずに、微妙な味付けを加えられていて大変結構。今ひとつ掴みきれないハキムのキャラクターが、まるでハーレクィンみたいな感じになっていて面白い(ハーレクィンを読んだ事は無いけど、僕の持つイメージが、という事。実際のところは知らない)。
特に良かったのは、エマが初めて眼鏡をもらうシーン。初めて見た世界の美しさと、人の優しさに触れたエマの感動が克明に伝わってくる感じがして素晴らしかった。
あ、関係ないけど、エマの過去の話が出てきたのは驚きました。原作ではこういう所を描写しないもんなあ。漫画では描ききれない細部まで描かれていて良かったと思います。
良い原作と良い小説家の幸せな結婚、とか気取った言い回しをしてみたくなる作品でした。
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