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2005.02.19

「約束の柱、落日の女王」、読了

約束の柱、落日の女王」(いわなぎ一葉)を読了。……す、凄い。とてつもなく面白い。荒削りではあるが、とてつもない才能の原石と言った印象を受けた。

富士見ファンタジア大賞準入選。
落日を迎えたシュトラス王国女王、クリムエラは苛立っていた。隣国の脅威が迫る中、国内の統一は乱れ、王宮は家臣達の手に握られ為す術もない。何かをしなければという焦りばかりが募るものの自らには知識も力も無い彼女には、周囲に対して当り散らすしかなかった。そんなある日、彼女は死んだ弟の部屋で一冊の魔術書を見つける。そこには『戦士』を召還するための方法が記されていた…。
自らの野心のため、ひたすらに武功を積み重ねるカルロ・カルネロスは失意の内にあった。今まで支え続け出世の手助けをしてきた自らの上官に裏切られ、その野心を阻まれたのだ。上官に対する憎しみを胸に秘めたまま、起死回生をかけて、皇帝を悩ませる呪いの神殿の正体を暴くことを決意する。カルロは単身神殿に乗り込んだ…。
そこで2人は出会う。クラムによって取り立てられたカルロは、めきめき頭角をあらわし国家の中枢を担って行く…という話だ。

ここ最近、また富士見ファンタジア文庫が面白くなってきたので、買ってみたんですが……こいつは凄い作品ですよ。ここ最近読んだ中では、最大級の才能のきらめきを感じましたですはい。もっとも、この作品自体は荒削りも良いところで、描写はたりないわ、説明は不足しているはで作品としては不備が多すぎるのは否定できない。

要するに、話を詰め込みすぎなのだ。しかも、群像劇の要素も持ち合わせているので、多くの登場人物がいるのだけど、結局きちんとキャラクターが立てられているのはカルロとクリムがせいぜいで、それにシーファン、ダルターニがかろうじてと言ったところ。キャラクターの描写不足にも程がある。悪役のキャラについてはラストで突然現れて見たもののあっさり退場と言った体たらくである。

しかし、そんな事は些細な点と言い切れるぐらいに面白い。もう、プロローグを読んだ時点からページをめくる手が止められず、ひたすら文字を追い続ける羽目になりました。当初、主人公のカルロは野心を胸に秘めた人物として描かれており、クリムの取り入って権力を掌握していく展開になるかと思われたのだが、しかし、お互いを必要としあう二人が、少しずつお互いを大切なものとして認識しはじめて行くシーンは、正統派な恋愛小説として読む事が出来る。しかし、この話は同時に、権力を求める事しか知らなかったカルロが、自分の求めるものを知り人を愛する気持ちを知る、そして、焦燥に身を焦がし周囲に当り散らす事しか知らなかったクリムが人の上に立つ君主としてのあり方を知るというビルドゥンクスロマンの側面がもう一本の糸としてあり、その絡み合い方が絶妙なのである。恋愛小説にして教養小説で大河ファンタジーロマンいうなんでこんなページ数でここまで話を詰め込んでいるの?と疑問に思うぐらいに盛りだくさんの内容が大変素晴らしい。

ああ結局絶賛に……まあ、しょうがないか。

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