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2005.02.14

「ア・ルース・ボーイ」、読了

ようやく積読も一段落が付いたので、借りていた本を読んだ。

ア・ルース・ボーイ」(佐伯一麦)を読了。うーむ…何だこりゃ。

僕はこの作者のほかの作品を読んだ事もなければ、またこの作品が発表当時、どういう文脈で読まれていたのかとか全然知らないので、あくまでも現在読んだ限りでの感想になるのですが…正直に言って理解できん。わからん。

あらすじは、高校を中退した主人公が、父親の分からない子供を生んだ少女と一緒に暮らす話である。前半、高校を中退した主人公が、職探しをしながら不安定な将来に漠然とした不安感を感じながらも生活する話は、ちょうど僕の防御の薄いところを突かれた。そう言う不安感は僕にとっても親しいもので、それをさし引いてもなかなか良い描写だったと思う。

問題は後半に入ってからで、母親との断絶や過去の出来事の所為で、どうしても一歩を踏み出す事が出来なかった主人公の葛藤があるのだが、その葛藤の乗り越え方がわけがわからないのである。『女の子とセックスしたー!人生薔薇色ー!』という感じて葛藤を乗り越えてしまう(ように読めた)。こんなんで克服できる不安感なら、今までやってきたことはなんだったんだ…。結局、北方健三大先生が正しかったって事なのだろうか。

個人的に耐えがたくなったのは、ラストシーンの主人公が自己を肯定する場面がある。このシーンは、前述のところで僕が躓いていた所為もあって、ひどく薄っぺらなものに見えてしまった。なんというか、物事が上手く行き始めた時というのは、自分の中でもとても明るく快活な気分になれて、この世は光に満ち溢れているという感覚がするものである。最後のシーンは、どうもその躁状態にある時の精神状態、一時のハイテンションのように見えてしまった。もうちょっと、持続的な『何か』(というと抽象的ではあるが)を見せてくれればよかったのだけど。

まあ、そう感じるのは、僕が自虐と自己否定が好きなオタクであるというせいなのだろうなあ。明るくて健全なものに対する嫉妬という、それこそ健全とは言えない感情が出てしまうのだろう。

作者と僕との世界認識の違いを感じてしまった一作でした。

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コメント

考えてみたのだけど、もしかするとこの作品は、虐待され男性性を略奪され続けていた主人公が、同棲相手の少女と過ごす内に、自らの男性性を回復する話なのかも知れないと思った。

しかし、それだと僕の好みからますます離れてしまうので保留にしておこう…。

投稿: 吉兆 | 2005.02.15 08:58

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