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2005.02.12

「私立三十三間堂学院」、読了

私立三十三間堂学院」(佐藤ケイ)を読了。……佐藤ケイってすげえ。

お、面白いなあ。佐藤ケイが本気で学園ラブコメを書いたらこうなるのか…。前から上手いとは思っていたが、こんな作品もさらっと(いや、実際のところは分かりませんが)書いてしまうなんて、この人は本当に萌えの達人ですね。ライトノベル読本とか色々出ていますけど、『萌えとは何ぞや?』という問いには、佐藤ケイに聞くのが一番手っ取り早いと思う。すごく理論的に説明してくれそうだ。

ええと、何の話だったっけ。ああ、作品の話だ。
両親を自己で失い、親戚の家に引き取られてた主人公、後白河法行は、私立三十三間堂学院に転入した。そこは昨年まで女子高だった学校で、しかも、手違いで男子は法行ただ一人という、女子だらけの学校だったのだ…という話。ま、美少女ゲームでよくある(というかあり過ぎる)設定である。

ここで主人公が色々な女の子と出会って恋愛が――という話になれば単なるギャルゲー小説だったのだが、佐藤ケイはそんな素直なことはしやしない。むしろ、法行の周囲にいる女の子(ヒロイン候補)たちに焦点が当たって、それぞれの内面の葛藤やら悪巧みやら暴走やらがドタバタと描かれている。普通のギャルゲーと比べて主客の転倒が起こっているわけだ。

さらに登場人物がたちが異様に多い。31人いるらしいが、さすがに一巻だけでは顔を出しただけのキャラも多かった。こんな事をするのは赤松健だけかと思っていたのだが…。なんとも挑戦的である。

主人公の法行からして、完璧超人のハイスペックな男であるが、クールなナイスガイ(でもズボラ)と、かなり本気でキャラを作りこんでいるようだ。名前と属性、台詞回しでキャラ付けするその手腕はまさに萌え小説のお手本とさえ言えると思う。いや、僕はそんなに萌え小説を読んでいるわけじゃないが、ギャルゲーのシナリオライターは見習って欲しいさえ思った。むしろ、佐藤ケイがシナリオを書いてほしような気がする。佐藤ケイが書いたなら是非やってみたい。

萌えてハイテンションで締めるところはきちんと締めて主人公もきちんと活躍するという、まったくストレスレスな作品である。降参です。

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