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2005.02.28

『ゼロヨンイチナナ』読了

ゼロヨンイチナナ』(清水マリコ/MF文庫J)を読了。相変わらず地味に面白い。

世界を暗い方へ導こうとするなんだか良くわからない組織と、たまたまそれに関わってしまった主人公たちというのが基本の話であるが、別段その組織というのは裏社会で権力をもっているとかそういう分かりやすい敵ではないのが特徴か。人のネガティブな感情を肯定し、後ろ向きな思考を推奨するその組織は、要するに弱さや挫折を人々の心にもたらす世界そのものとさえ言える。主人公達は一介の学生に過ぎ無いのだが、組織のあまりの得体の知れなさゆえにその心の強さだけで対抗する事が出来るのである(というかそれしか出来ない)。

必然的にその戦いは明確な敵が存在するものではなく、常に自分の心と向き合うことになる。主人公達に降りかかる試練は都市伝説的な異界と結びつく事で乗り越えられる形での困難となっており、またその現界とは異なる法則でもって存在する異界(幽界?)においての闘争は、その法則を見出すというゲーム的なルールに則って行われる事になるという点が不思議な感じだ。

なんだか自分でも何を言っているのか分からなくなって来た…。とにかく、この作品はちょっと語り難いですね。何が面白いのか論理的に説明できないのだけど、あえて言うならこの世とは異なる世界という意味での異界の雰囲気を上手く捕えているんじゃないかと思う。しかし、逆に(あるいはそのため)物語の構成などを思いっきりぞんざいにしているところがあって、例えば今回の主人公が事件に関わるきっかけというのがなんと「逆ナン」…おいおい、ちょっと待てよ…いくらなんでも適当すぎるだろ。他にも展開の強引なところはたくさんあって、しかし、その強引さが不思議な感触をもたらしている事も否めないので一長一短なのかもしれないなあ…。

都市伝説が好きな方なら楽しめるんじゃないかなー。

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『シンシア ザ・ミッション』読了

シンシア ザ・ミッション』を読了。漫画だけど、大変ツボにはまったので感想を書くことにする。

面白いなあ…。内容は、ある種のスタンダードとして定着した感もある戦闘のプロたる美少女達が主人公のアクション漫画。まー話自体には粗がけっこうありそうな気もしますが(2話とか。いくらなんでも、いきなりシンシアが何もせずに逃走と言うのは無いだろう。そりゃリアリティなんて求めるお話じゃないけど、あそこでバトルにならないのは不自然すぎる。それなら、シンシアはたまたま席を外していたとかでも良かったと思う。あと、5話とかもそう。ナイフや銃を持っている女子高生ってめちゃくちゃ怪しいよ!気にしろよ誘拐犯!)、それを補って余りあるのは、ヒロイン達の戦う事にたいする意思が明快さと、それによって生じるカタルシスですね。この作品がもつテンションはただ事ではないと思います。作者のトンデモすれすれの戦闘談義もケレン味たっぷりで大変よろしゅうございます。

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本日の購入物

今日は一日咳が止まらなかった。どうやら風邪の引き始めみたいで、何をするにも体がだるくて気力が沸きません。仕事も当然のようにはかどりませんが、まあ、珍しい事じゃないか(それで良いのか、社会人…)。

1、『リヴァイアサン(11)』 作:大塚英志 絵:衣谷裕 メディアワークス
2、『ベルセルク(28)』 三浦健太郎 白泉社
3、『医龍(8)』 乃木坂太郎 小学館
4、『20世紀少年(18)』 浦沢直樹 同上
5、『ドロヘドロ(6)』 林田球 道場
6、『UMAハンター馬子 完全版(2)』 田中啓文 早川文庫

1、なんといつの間にかの11巻目。そんなに長く続いていたんだ…。それにしても最近のだらだらぶりにはいい加減腹に据えかねるところがあったのだが…あれ?この巻は面白いぞ?何があったんだ?
2、これまたいつの間にやら28巻。一年に2冊しか出ないこのシリーズだから…一巻が出てからもう14年も立っているんですね。僕が集め出してからもすでに7年ぐらい立っているし…もう一生付き合うつもりでいるからのんびり書いていって欲しいと思います。
3、相変わらず加藤助教授がエロい(このオヤジ的思考はどうか)。それはともかく、これもなかなか続きが出ない作品だな。あー続きが気になるってのによー…。
4、もはやなんだか良くわからない怒涛の展開。視点が現在と過去を行ったり来たりして、謎の解明に入っています。この巻ではついにあの男が立つという展開に。僕はてっきりケンヂが友達になっているんじゃないかと思っていたのだが…。
5、個人的お気に入り漫画の6巻目。この神経症患者が書いたような強迫的で不安定な描写がたまらなく好きだ(カイマンが過去の悪夢を見ている場面なんて読んでて嬉しくなる)。あと、やっぱり若い能井は美少女だなあ。今の筋肉美女ぶりも悪くないけど(なんか能井のことばかり書いているような…)。
6、やっべえ、一巻目読んでいないや。どこに置いたかな…(だめじゃん)。

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2005.02.27

『鏡姉妹の飛ぶ教室 <鏡家サーガ 例外編>』読了

鏡姉妹の飛ぶ教室 <鏡家サーガ 例外編>(』佐藤友哉/講談社)読了。本当は大分前に読み終わっていたんだけどね。

もともとWeb連載されていた作品の製本化です。僕は連載をずっと読んでいたので再読といえば再読であります。

佐藤友哉の長編としては、『クリスマステロル』以来となるので、佐藤友哉ファンとしてはようやくというか待望のという形容詞を付けたくなる作品。今までの作品に比べると驚くほどエンターテインメント性が高くなっており、読んでいて普通に面白いです。西尾維新のパクリとか言うな(でも実は僕もそう思う)。

そういえばどっかのインタビューで、連載ということで少年漫画的な面白さを追求するために『予想外の展開』を毎回盛り込んだと言っていたので多少普段の内容とは異なっているのでしょうね。例外編だし。しかし、その副作用で毎回凄い引きをしてしまったため辻褄が合わなくなって後半ぐちゃぐちゃな展開になったのには、むしろ「ああ、いつものユヤタンだ…』と安心しました。これが無くっちゃな。

話は変わるけど今回は何時にも増してキャラクターが薄っぺらい。作者によって役割を与えられた駒としてのキャラクターが一面的な自分の意見(主張)をひたすらに繰り返しています。しかし、それが悪いというわけでなく、むしろその単純な主張がぶつかり合い摩擦を起こす事で事件その物全体に、何か一つの作者の意図が見えてくるように感じた。混沌としていて、作者自身も無意識にやっているのだろうと感じるのだが、単なるエンターテインメントを越えて作品全体から立ち上ってくる『何か』こそが佐藤友哉にあって西尾維新に無いものだと思う。

やっぱり佐藤友哉は長編が面白いという事を再確認した一作でした。

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『ちーちゃんは悠久の向こう』読了

いい加減、感想を書きたい本が貯まり過ぎなので短めに行こうと思う。
ちーちゃんは悠久の向こう』(日日日/新風舎文庫)を読了。こりゃすっげえなあ!

先日読了した『私の優しくない先輩』を読んだ時は、上手いな、という印象を受けたのと同時に、別にこのタイプの作品を書く作家はいくらでもいるよなあ…と言った感じもしたんですが(失礼)、この作品では日日日氏の作家としての凄みを感じさせてもらいました。確かに、こんな作品を書ける(もしくは書けてしまう)のでは、作家になるしか他に方法は無いよなあ…。

完全に騙された。
ライトノベル的なキャラクター描写の上手さと、根底に流れる陰鬱で絶望的な何かが、非常に深く融合した稀有な作品。ポップで変なドライブが懸かった文章は、実のところとても計算されている感じがしてとても読みやすく面白い。キャラクターの立ち方も上手く、ぶっちゃけた話『萌え』も無いではない。しかし、それらのピースを用いて構築されるのが、どうしようもないほどの「暗黒」であるというのは、一体なんなんだ。

文体やキャラクターの作り方は、どこか西尾維新や滝本竜彦を思わせ、世界の暗黒の描き方は乙一を思い起こさせる。しかし、それら先輩作家達とは作品に対する突き放し方の点で明らかな違いがある。その突き放し方は、もはや作者の悪意と言っても良いかもしれない。その悪意は、読者に向けられたものもあるのかもしれないが、同時に、書いている作者にすら向けられた皮肉でもあって、それが表面的な軽妙さと相まって非常に重たい衝撃を受けた。

なんちゅーか……この作品は「最悪」だ(これは褒めている)。繰り返すが、こんな最悪な作品を書けてしまう土壌を持った精神では、そりゃ作家になるしかねーよ。

この作者の本は、当分の間デフォルトで購入する事を自分への決定事項と致します。

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本日…つーか正確には昨日の購入物

外出が重なって更新をサボっていました。一度サボるとなかなか更新出来なくなりますねえ…。

1、『銀盤のカレイドスコープvol.4 リトルプログラム:Big sister but sister』 海原零 集英社スーパーダッシュ文庫
2、『鬼哭街 鬼眼麗人』 虚淵玄 角川スニーカー文庫
3、『薔薇のマリア Ⅱ 壊れそうなきみを胸に抱いて』 十文字青 同上
4、『バイトでウィザード(7) したがえわが宿命に、と少女は呟いた』 椎野美由貴 同上
5、『皇国の守護者(9) 皇旗はためくもとで』 佐藤大輔 中央公論新社
6、『もえるるぶ 東京案内』 JTBパブリッシング
7、『シンシア ザ・ミッション』 高遠るい 一賽舎

買ったなあ…。
1、スポ根フィギュアスケート小説第4弾。最近、多作ですねえ…。
2、PCゲームのノベライズ…にみせかけた移植作。面白いんだけどね…。
3、キター!新人としては個人的注目度ナンバーワン。前に出てから…3ヶ月ぐらいですか。順調な滑り出しかな。長く続いてくれると良いのだけど…。
4、ようやく終わりが見え初めて来た感じの第7巻。優しくない不条理な世界の書き方が良いと思う。
5、…ごしごし(目をこする)。夢じゃなかろうな、本当に続きが出ているよ…。前巻が出たのは何時だ…ああ、ブログをはじめる前か。購入報告すらしちゃいねえ。
6、買っちゃいました。ネタのため…といいたいところだけど、これ意外と本格的な作りをしています。ちと地図が見難いが、それを除けば文句をつけるところは無い。便利だと思う。
7、またゼロサムだよ…。これ、作者も内容も全然知らなかったのだけど、たまたま本屋で立ち読みしたら、やたら面白かったので購入。これは本誌もチェックするべきかも。

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2005.02.26

マルドゥック・スクランブルのアニメ化

マルドゥックスクランブルのアニメ化だそうな。
どうやらGONZOでやるらしいので、あとはお話を作る人をちゃんと配置してくれれば磐石であろう。
『冲方丁が脚本』と書いているので期待できそうです。

ファフナーで得た経験を生かしてこっちでも脚本をやるわけですか…。着実にキャリアを重ねていますねえ。

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2005.02.24

『私の優しくない先輩』読了

私の優しくない先輩』(日日日/碧天舎)を読了しました。碧天舎の恋愛小説コンテストラブストーリー大賞受賞作品。時間が無いので簡単に。何しろ感想を書くべき本がたまりにたまっている…。

面白い。そして上手い、というのが第一印象。軽快でどこか暴走気味な女子高生の一人称が、非常に読んでて心地よく、それだけでも只者ではない感じがする。いわゆる感動系ラブストーリー全盛(なのか?良く知らないけど)のこの時代に、敢えて泣かせない(しかし、悲しみを抱えた)恋愛青春物語は、いい感じに世間に迎合しない捻くれ具合で僕には好感触である。小説家っつーのは読者に媚びたら終わりだよな(個人的な話ですが)。

薄くて短い本だけど、非常に読みやすくて面白い。これで17歳か…まったく参るなあ…。

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本日の購入物

今日、本屋でとんでもないものを見つけてしまった…。その名も『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 全4巻BOXセット 7,200円』(夢枕漠/徳間書店)。しかもケースの絵柄が2種類。あ、ありえない…一体どういう層へ向けての販売なんだ…。しかし、一番ありえないのは、本屋で見つけた挙句、延々15分以上悩み続け、手にとって(重かった)、絵柄を見比べて(片方は今市子だった)、結局買わずに出てきてしまった自分である。買えよッ!!(そっちか)


購入報告でーす。
1、「監督不行届」 安野モヨコ Feelコミックス
2、「世界の終わりの魔法使い」 西島大介 河出書房新社
3、「怪訝の町」 西安 大都社

1、庵野秀明と結婚した安野モヨコが、その結婚生活を描いたエッセイコミック。安野モヨコから見た庵野監督のオタク的行動が、愛情たっぷりに(ほとんどノロケに近い)描かれた作品。庵野監督の行動は、オタクなら誰しもやっちまうところで、そう言う行動を客観的に描写されているというなんともはやオタクにとっては気恥ずかしいちゅーか。しかし、基本的に愛情が込められているため、カントクの行動がなんともかわいらく、ほほえましい。この夫婦は家庭円満だよ…。
2、セカイ系で色々注目されている(と思われる)西島大介の新刊です。最近、良く漫画を見かけることが多いけど、何故か普通の漫画雑誌では見かけないのが不思議。文芸紙で描く事が多いのかな。その作風は、ぎすぎすして閉じていて、どこか乾いた明るさがある。単純に「面白い!」とは言えないが…何故か気になる漫画家である。
3、完全無欠の成人コミック。まあ、いいじゃん?実は僕は、西安というのはなんだか変なセンスを持っている漫画家だと思っていたりする。絵も全然萌え系の絵ではないし、どちらかと言えば劇画調の絵なのかもしれないけど、エロと詩的とすら言える部分を併せ持っているところが結構好きだ。この作品は、ちょうど西安の詩的な部分が良く出ていると思う。

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2005.02.23

『真実の扉、黎明の女王』読了

真実の扉、黎明の女王』を読了した。あーあ、やっちゃった…。

前作が大変面白かったという事実は僕の中では変わらないのだが、それと同じくらいこの作品は評価出来ないという事実もまた真なりだ。もう読むのがきつくてつらくて…久しぶりに文字が読めない苦痛を味わってしまった。この作者の悪いところが全部出てしまった印象かな。前作を読んで期待値が高すぎたのも原因かもしれん。

まず冒頭部の展開からして引っかかってしまう。カルロがヒロインのクレアと出会うシーンはまあともかくとして、そこからウェルラント王国へ旅立つまでの下りが、あまりにもぐだぐだで参ってしまう。御都合主義もここに極まれりというか、あんたら簡単に人を信用しすぎた。旅立ってからもあっさり到着するし…なんなの?狙われているんじゃ無かったの?一体作者は何がやりたいの?カルロの中途半端な道化振りにも腹が立つ。クリムとの出会いと別れを経て成長と陰を得たお前はどこに行ったんだ…単なる軽薄兄ちゃんになり下がっておりますな…。

あと、一番耐えがたいのがヒロインのクレアの思考回路であります。この人、思考に飛躍が多すぎて僕には何を考えているのかさっぱり分かりません。乙女回路を持たない20代男である僕にも分かるように説明してくださいお願いします。一人称で書かれている場面でも一体何を喋っているのが分かりません…僕も年か。
…女の子の思考回路は謎だなってことなんでしょーか。

結局、上記のような理由で、そもそも物語を読む以前に文字が読めません。理解不能で。原因の一つには、前回あった戦記物としての側面が薄れ、キャラクターに重点が置かれているせいではないかと思います。で、僕にはそのキャラクター描写が理解できなかったのですね。前作でもキャラクター描写は感心できなかったしな…。

まあ、次の巻に期待しておきます。

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本日の購入物

最近本を買ってないな~と思って過去の購入報告を確認したら2月だけで21冊も買っていた(漫画は含まず)。こんなに買っているんですか…僕。

1、「私の優しくない先輩」 日日日 碧天舎
2、「ゼロヨンイチナナ」 清水マリコ MF文庫J
3、「おひるね ちゅ!」 YUG ワニマガジン社

で、また本が増えると。本の整理(というより処分)を真剣に考えねばなあ…。
1、各所で話題の日日日(あきら)の作品。ようやく発見したので購入。まんがの森で買えるとは…日日日氏はライトノベル作家という位置付けなのかね。まあ、ライトノベル作家ではないとは言えないが…。
2、萌えと都市伝説を融合したキャラクター小説の続刊。別段インパクトの欠片も無いが、何故か地味に面白いような気がする。気のせいか?
3、ぺとぺとさんの絵師YUG氏の画集のリニューアル版。世間的(?)には「週刊わたしのおにいちゃん」の方が有名なのかな。結局、僕は買ってないが(フィギュアなんぞ買ってもなあ…)。尖がったところの何も無い、それゆえに先鋭的な絵を描く人だなあ…。ある意味、萌え絵の王道中の王道…かどうかは知りません(おいおい…)。

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2005.02.22

『死者の奢り・飼育』読了

死者の奢り・飼育』(大江健三郎/新潮文庫)を読了した。やっべえ、すげえ面白い。おかしいな、高校生の時は読むのがつらくてつらくてどうしようも無かったはずなんだが…。読解能力が向上した、なんて事はありえないから(昔の方が読解力はあったと思う)、やっぱり考え方の変化のせいかなあ。

それにしても20才を過ぎたばかりでこんな作品を書けるなんて、確かに大江健三郎ってすごいかもしれない。少なくとも、乙一が天才的であるのと同レベルで天才的と呼んでもよいやもしれん(その比喩はどうかって?だって、僕の中では大江健三郎と冲方丁と乙一と村上春樹は同格の存在ですからしょうがないんです。)

とりあえず感想でも。

『死者の奢り』
これ主人公の感覚がもの凄く良くわかるんですよ。勿論、僕は昭和三十年代に生きていないので主人公の気持ちが分かるかといわれればきっと誤読なんだろうとは思うけど、しかし、現代の感覚に照らし合わせながら読んでみて共通する感覚を想起できるというのは、大江健三郎の時代を超えた普遍性を表しているのではあるまいか。戯言だけどね。まあいいや。

「僕」はバイトで大学の医学部にある死体処理室にやってくるのだけど、この死体処理室というのは、現実=生の世界と対比された閉ざされた異世界=死を表しているのだろう。主人公は、現実から離れた死を嫌悪しながら誘惑される。それは現実世界の不条理、理不尽からの逃避なのだろうが、死=ファンタジーを求める精神というのは決しておかしなことではないだろう。事実、「僕」は物語が進むに連れて死体に対する親近感を深めていくのだけど、しかし、その異世界は、死体搬送にやって来た運搬員=侵入者によって現実の流入を許し、幻想は破壊されるという過程を表しているように感じた。幻想なるのものの儚さと、現実に生きる事の困難さが描かれていて、僕はこの作品はとても好きだ。

『他人の足』
これは脊椎カリエスによって立つ事もかなわぬ少年達の、閉塞した、それでいて完全に自足した楽園が、外からの来訪者を向かえ入れたことで「外部」というものの存在を知ることによって生じる絶望を描いている。「外部」という存在が無ければ、人は自らが閉じ込められた虜囚であることも知らず無知なる幸福を享受できるのだ。なんて事を思った。

主人公の青年は、他の仲間よりも年をとっているため絶望の深さを知っているが故に学生を信じない。しかし、それでも希望に心を惹かれてしまう様は物悲しい。

『飼育』
ここに出てくる黒人兵士というのは、少年にとっての非日常なのだろうと思う。村という、閉塞した世界の中で、そしてそのことに何の疑問にも思っていない少年が、初めて感じた外部の存在。それまで決して意識した事もない外の世界からの来訪者を見て、少年は好奇心をあらわにする。村で黒人兵士を「飼育」する事で、言葉が通じないながらもつかの間の幸福の時間を過ごす。しかし、その時間は長くは続かず、外の世界の論理(ここでは戦争)が小さな世界(村)は崩壊する。目の前で黒人兵士の「死と恐怖」目の当たりにした少年には、すでに「楽園」を失っているのだろう。「死」を知った時、少年は少年ではいられなくなり、大人となる…話で本当に良いのか?

しかし、最後まで読んでからこの作品を考えてみるとまた違った印象があるな。何しろ「アメリカ人を飼育」するんだもんな…。大江健三郎のアメリカへの意識が伺える…というのは短絡的かな。

『人間の羊』
これは「被害者」と「傍観者」の物語。「被害者」にたいして、「傍観者」というのは常に残酷だ。その残酷さは、常に正論、正義感から発しているだけにたちが悪い。「傍観者」の醜悪さ、いやらしさがこれでもかと描写されており、正直見るに耐えない。自分が正義を執行しようとする人間は、決して痛みを感じる人間の下まで下りてこない。そこにあるのは歪んだ優越感に満ち溢れた尊大な正義感だけなのだ。

『不意のおし』
何故か字が出ない。差別用語だからか?しかし、文字だけ規制すればいいっていう感じが気に入らない。まあいいけど(いいのか)。
それはともかく、この作品は良くわからない。正直に言って何が言いたいのやらさっぱりです。分かったのは、大江健三郎は、アメリカ人に対して複雑な感情を抱いているんだなあって事かな。外国人(外部)とのコミュニケーションの断絶した小世界を描いている…んだろうか?うーむ。

『戦いの今日』
ここまで読んできて、どうやら大江健三郎は(あくまでも作品内において)アメリカに対する複雑な愛憎があるらしい戸ということが分かった。まあ、戦後十数年しか経っていない時代背景考えれば当然の事か。またこの作品にはアメリカへの劣等感と嫌悪と、どこか生ぬるい親しみを感じさせる。というか、それしかない話ではあるな…。これまた読みやすいのであるが、どうにもこうにも作品としては語りにくいなあ…。

そうそう、主人公の『かれ』が、単なる刺激を求めて行った行為が、予想もつかない非日常を招きよせてしまうといった展開は、設定さえ変えればまるでライトノベルのみたいだと思ったのは内緒だ。大江健三郎をライトノベルとして翻案すると面白そうな気がするな、と思ったが考えてみたらそれは大塚英志が今までやってきた事だということに気が付いた。ひょっとして大江健三郎がこんなに読みやすくなったのって、大塚英志の作品を読みまくったせいで慣れたって事なのか…あ、ありうる…。


それはさておくとしても、大江健三郎のテーマが、現代の感覚と照らし合わせても全然古びていないというのはすごいことだと思います。この本に共通するのは「閉塞感」ですね。それも無知と幸福が一体になった閉塞と、いつかは失われるべき楽園というモチーフがあるように感じられる。閉塞感を伴った楽園の儚さと、暴力的とさえ言える崩壊感が大変素晴らしかった。何で今まで読んでなかったんだ…僕の好みど真ん中じゃねーか…。

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2005.02.21

『SEVEN-BRIDGE』(3)

ぐあー!勿体ねえ!本当に勿体ねえ!ああ、勿体ねえ!

取り合えずコンプリートした。面白い…面白いんだけどさあ…。…この作品は、もっともっと面白くなるはずの作品だろうがっ!!ド畜生!


ちとエキサイトしてしまいましたが、本当に勿体無いとしか言いようが無い作品です。第三の橋を越えるところまでは神懸かった面白さだったんだけどねー…。時間や資金が足りなかったのか、シナリオライターがスランプに陥ったのかは知らないけど、第四の橋を越えるあたりからいきなりシナリオが粗くなってしまった。物語そのものは相変わらず魅力的なだけに、まるで打ち切り寸前の漫画のようなぶつ切りの展開が見るに耐えない。あーあ、本当に勿体無い。

傑作になり損ねた未完成品。未完成でこんなに面白かったのだから、きちんと完成された作品ならどれほどかと想像するだけで悔しいし無念だ。ああ勿体無い。

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本日の購入物

1、「道士郎でござる(3)」 西森博之 小学館
2、「真実の扉、黎明の女王」 いわなぎ一葉 富士見ファンタジア文庫

くそー、「ハヤテのごとく!(1)」が見つからん…。発売されていることに気が付かなかった。不覚。
1、とりあえず買い忘れていたので。この漫画は電車の中で読むのは危険すぎる。思わず吹き出しそうになるのを必死にこらえる羽目に。何故かツボなんだよなー。
2、「約束の柱、落日の女王」の続編。前作はきちんと終わっているので、続けるのは難しいような気がします。蛇足にならなければ良いのですが…。

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2005.02.20

『SEVEN-BRIDGE』(2)

なんか。当初想像していた内容と大分違っていたの驚いた。全然無問題だけどな!

もっと幻想色が強いのかと思っていたら、実はTVアニメ的な冒険物だったいう。

立ちふさがるは七つの試練。ともに歩むは少女と魔道。魔法が跋扈する異界を、意思持つ列車『プレステ・ジョアン』を駆り疾走する。

映像で見てえ…。

個人的には、主人公が、屈折してねじくれた熱血野郎なのが大変素晴らしい。他のキャラも立ちまくっている。

今のところケチの付けようがありません。良い。

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2005.02.19

『SEVEN-BRIDGE』大絶賛プレイ中

SEVEN-BRIDGE』をやっています。

ド素晴らしい(貧弱なボキャブラリーだな…)。

どうやらバグも無いようで、快適な事この上なし。凄いなライアーソフト(凄いか?…凄いな)。

やっと第一の橋を越えたところなんだけど…なんですがこの盛り上がりっぷりは。どこのクライマックスですか。ありえないっすよでもすばらしー。

木村航…じゃなかった茗荷屋甚六はさすがだなあ。

とりあえずはとりあえずはそんなところです。

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「約束の柱、落日の女王」、読了

約束の柱、落日の女王」(いわなぎ一葉)を読了。……す、凄い。とてつもなく面白い。荒削りではあるが、とてつもない才能の原石と言った印象を受けた。

富士見ファンタジア大賞準入選。
落日を迎えたシュトラス王国女王、クリムエラは苛立っていた。隣国の脅威が迫る中、国内の統一は乱れ、王宮は家臣達の手に握られ為す術もない。何かをしなければという焦りばかりが募るものの自らには知識も力も無い彼女には、周囲に対して当り散らすしかなかった。そんなある日、彼女は死んだ弟の部屋で一冊の魔術書を見つける。そこには『戦士』を召還するための方法が記されていた…。
自らの野心のため、ひたすらに武功を積み重ねるカルロ・カルネロスは失意の内にあった。今まで支え続け出世の手助けをしてきた自らの上官に裏切られ、その野心を阻まれたのだ。上官に対する憎しみを胸に秘めたまま、起死回生をかけて、皇帝を悩ませる呪いの神殿の正体を暴くことを決意する。カルロは単身神殿に乗り込んだ…。
そこで2人は出会う。クラムによって取り立てられたカルロは、めきめき頭角をあらわし国家の中枢を担って行く…という話だ。

ここ最近、また富士見ファンタジア文庫が面白くなってきたので、買ってみたんですが……こいつは凄い作品ですよ。ここ最近読んだ中では、最大級の才能のきらめきを感じましたですはい。もっとも、この作品自体は荒削りも良いところで、描写はたりないわ、説明は不足しているはで作品としては不備が多すぎるのは否定できない。

要するに、話を詰め込みすぎなのだ。しかも、群像劇の要素も持ち合わせているので、多くの登場人物がいるのだけど、結局きちんとキャラクターが立てられているのはカルロとクリムがせいぜいで、それにシーファン、ダルターニがかろうじてと言ったところ。キャラクターの描写不足にも程がある。悪役のキャラについてはラストで突然現れて見たもののあっさり退場と言った体たらくである。

しかし、そんな事は些細な点と言い切れるぐらいに面白い。もう、プロローグを読んだ時点からページをめくる手が止められず、ひたすら文字を追い続ける羽目になりました。当初、主人公のカルロは野心を胸に秘めた人物として描かれており、クリムの取り入って権力を掌握していく展開になるかと思われたのだが、しかし、お互いを必要としあう二人が、少しずつお互いを大切なものとして認識しはじめて行くシーンは、正統派な恋愛小説として読む事が出来る。しかし、この話は同時に、権力を求める事しか知らなかったカルロが、自分の求めるものを知り人を愛する気持ちを知る、そして、焦燥に身を焦がし周囲に当り散らす事しか知らなかったクリムが人の上に立つ君主としてのあり方を知るというビルドゥンクスロマンの側面がもう一本の糸としてあり、その絡み合い方が絶妙なのである。恋愛小説にして教養小説で大河ファンタジーロマンいうなんでこんなページ数でここまで話を詰め込んでいるの?と疑問に思うぐらいに盛りだくさんの内容が大変素晴らしい。

ああ結局絶賛に……まあ、しょうがないか。

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2005.02.18

本日の購入物

1、「約束の柱、落日の女王」 いわなぎ一葉 富士見ファンタジア文庫
2、「結界師(6)」 田辺イエロウ 小学館
3、「からくりサーカス(36)」 藤田和日郎 同上
4、「史上最強の弟子 ケンイチ(14)」 松江名俊 同上


1、最近、富士見ファンタジア大賞が面白く感じられるようになってきたので準入選作品であるこの作品を買ってみた。結果…すげえもんを読んでしまった…。とてつもない才能の原石ですよこいつは…。あっという間に読み終わってしまったので感想を書きます。
2~4については省略。いつもの続き物です。

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2005.02.17

本日の購入物

1、「魔法先生ネギま!(9)」 赤松健 講談社コミックス
2、「新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd(4)」 林ふみの アスカコミックス

ま、今日はこんなところで。
1、最近ではアニメも始まっているネギま(見ていないけど)。相変わらずソツ無く面白くて何気に凄いです。ソツが無さ過ぎてもはや言うべき事が見つかりません。そもそも、僕なんかが何か言う必要がある作品でもありませんや。
2、学園エヴァの4巻。ついでに一部完でもある。見事なまでに少女漫画として構築しなおされたエヴァなんですが、完璧なまでの少女漫画ぶりに、使途とか世界の謎とかがどーでも良くなっています。エヴァなのに、エヴァンゲリオンは放置っすか…。まあ、面白いから良いか。

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「先輩とぼく」、読了

先輩とぼく」を読了。…面白いじゃあないですか。

宇宙人によって憧れのつばさ先輩と脳を入れ替えられてしまったはじめ君。あまりの出来事に愕然とするも、ちっとも動揺しないどころかむしろ興味津々な先輩に引きずられて女の子としての人生を歩み始める。しかし、純情なはじめ君の周りに集まってくるのは、つばさ先輩を筆頭に、霊能力者のナルシスト、予知能力者、熱血バカ、超人オタクなど奇天烈な人間ばかりで…という話。

超能力者、宇宙人などが出てくるあたり、「涼宮ハルヒ」を思わせる設定ではあるが、読んでみたら全然違っていました。どれくらい違うかといえば、『涼宮ハルヒはSFだが、この作品はSFではない』というぐらいはちがう。宇宙人とか出てきていますが、この作品にはSF魂(別名センスオブワンダー)は少なめ(あ、SF魂があるかどうかは作品の面白さとは無関係です)で、どっちかというと絶世の美少女になってしまったはじめ君の受難の話が中心であります。

結局、主人公のはじめ君のイノセンスな魅力が作品の肝でありましょう。まったく持って、読んではじめて気が付いたのですが、純情な少年の心を持った美少女というのはこれほどまでに無垢な存在だとは思いもよりませんでしたな…。お兄さん、吃驚しちゃったなー(気持ちわりーな)。

意地悪なつばさ先輩のセクハラに右往左往するはじめ君のリアクションに萌えるのが正しい読み方のような気がする。さらに、先輩とのいちゃいちゃぶりには、見事なまでのバカップルぶりであり、バカップル属性のある人には楽しめるんじゃないかな(僕は厳しかったが)。

実に行き当たりばったりな展開や、全然驚きもへったくれも無いオチなど、小説としては色々言いたい事もあるが、総じて楽しい作品。人気があるのも頷けますね。

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2005.02.16

つ、つかれたー

意外と手間がかかった…。

感想の索引を作ってみました。クリックすると感想の記事に飛びます。
画面右側にINDEXへのリンクを貼っておきました。

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本日の購入物

今日は一つだけ。

1、「ちーちゃんは悠久の向こう」 日日日(あきら) 新風舎

1、天才高校生作家デビュー!ということで話題の作家。すいません、『買う気が失せるなあ』なんて言っておきながら買いました。良いじゃないか!売っていたんだから!(別に悪くはない)

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「キリサキ」、読了

キリサキ」(田代裕彦)を読了。とても楽しんで読めてしまった。

内容を一言で言えば、『壊れた人間系ミステリ富士ミス版』ですね。
富士身ミステリー文庫にしては(という言い方は我ながら酷いと思うが、既にミステリですらない作品を平気で出版しているあたり、根拠の無い発言ではないと思っている。ただ、不愉快に感じた方が居たらごめんなさい)きちんとミステリをしていて良いのでは無いでしょうか。なんて偉そうな発言をしていますが、ものの見事に騙されてしまった吉兆です。読み返してみればきちんと伏線が張られているので、真面目なミステリ読みの人には笑止なトリックなのかもしれませんが、きちんと論理的であり(またその論理が事前に説明されている事も含めて)読み終えた後にも納得の結末でありました。

ミステリ的な側面についてはそれくらいにして、『富士ミス』的な観点から見てみても、これがまたなかなか面白い。主人公の"俺"は一度死に、まだ寿命が残っているという"案内人(ナヴィ)"の提案に乗っかる形で蘇る。しかし、蘇った先は"俺"ではなく、『霧崎いづみ』という少女の体だった…という体入れ替わりものです。漫画などに良くある設定ですね。

精神が男でありがながら肉体的には完全な少女という設定は、どうも背徳的というか禁忌っぽい感じがあって良い(変態め…)。もっとも、この主人公は少女の体に対して極めて淡白で、簡単に受け入れてしまっている所がやや残念と言った所。もうちょっと、女性の体になってのドギマギするシーンとか入れてくれてもいいんじゃないかな!ないかな!(……)

まあそれはそれとしても、外見は楚々とした美少女を装って男を篭絡する主人公の姿は、なんちゅーか、中身なんてどうでもいいー!と思わなくもない感じ。むしろ、男の願望を知り尽くした"俺"の繰り出す媚は逆にエロスと言って過言ではないでしょう。無防備さがたまらん(しかし、我ながら不毛だとは思う…)。
LOVEも(一応)入っていて、恋人というよりは共犯者な関係は、これはこれで良いのではないでしょうか。

個人的には、文章がちょっとひっかった(ぶっちゃけあまり上手くない。他人のことは言えないが)のだが…まあ我慢出来ないほどじゃない。『富士ミス』好きの方なら読んでみて損はしないかと思います(そもそも、富士ミス人口がどれくらい居るのか不明なんだけどね…)。

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2005.02.15

本日の購入物

買うつもりはなかったのに…。

1、「先輩と僕」 沖田雅 電撃文庫
2、「キリサキ」 田代裕彦 富士見ミステリー文庫
3、「SANCTUM ゼフィロス」 西風隆介 トクマノベルズ
4、「ヴァンパイヤー戦争(8) プドゥールの黒人王国」 笠井潔 講談社文庫
5、「霧の中の二剣士」 フリッツ・ライバー 創元推理文庫
6、「うしおととら(6)」 藤田和日郎 小学館文庫

1、巷で面白そうな評判を聞いたのでついふらふらと購入。最近、このパターンだと外す事が多い気がする…。やっぱり自分で判断しないと自分以外に原因を求めてしまうからいけませんね。
2、巷で~(略)第二弾。すいません(何故謝る)。しかも、上と同様性転換もの(というと語弊がある気もする…)。……な、なんだよ!?べ、別に僕にそんな願望があるわけじゃないぞ!?ほ、ほ、本当だってば!う、うう、そ、そんな目で見るなあ!!(疲れているんです…)
3、えーと…、これは…そのー。衝動買いっつーか、なんと言うか。んー…端的に言っちゃうと、表紙があまりにピンポイントでエロスだったので買ってしまいました。…駄目な人だあ…。
4、いつまで続くんだこれ。ところで、黒人王国って凄いタイトルだな。差別用語じゃねーか。
5、ファファード&グレイマウザーシリーズの第三弾。えーと、まだ二作目を読んでねーや(こんなのばっかりだ)。速く読まねば…。
6、うしとら文庫版の6巻目。まだまだ全工程の三分の一ぐらい。楽しみです。

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2005.02.14

そういえば

反応が遅れたけど、何故か西尾維新―書評Wikiから4つもトラックバックされている…。なんでだろう…。

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「ア・ルース・ボーイ」、読了

ようやく積読も一段落が付いたので、借りていた本を読んだ。

ア・ルース・ボーイ」(佐伯一麦)を読了。うーむ…何だこりゃ。

僕はこの作者のほかの作品を読んだ事もなければ、またこの作品が発表当時、どういう文脈で読まれていたのかとか全然知らないので、あくまでも現在読んだ限りでの感想になるのですが…正直に言って理解できん。わからん。

あらすじは、高校を中退した主人公が、父親の分からない子供を生んだ少女と一緒に暮らす話である。前半、高校を中退した主人公が、職探しをしながら不安定な将来に漠然とした不安感を感じながらも生活する話は、ちょうど僕の防御の薄いところを突かれた。そう言う不安感は僕にとっても親しいもので、それをさし引いてもなかなか良い描写だったと思う。

問題は後半に入ってからで、母親との断絶や過去の出来事の所為で、どうしても一歩を踏み出す事が出来なかった主人公の葛藤があるのだが、その葛藤の乗り越え方がわけがわからないのである。『女の子とセックスしたー!人生薔薇色ー!』という感じて葛藤を乗り越えてしまう(ように読めた)。こんなんで克服できる不安感なら、今までやってきたことはなんだったんだ…。結局、北方健三大先生が正しかったって事なのだろうか。

個人的に耐えがたくなったのは、ラストシーンの主人公が自己を肯定する場面がある。このシーンは、前述のところで僕が躓いていた所為もあって、ひどく薄っぺらなものに見えてしまった。なんというか、物事が上手く行き始めた時というのは、自分の中でもとても明るく快活な気分になれて、この世は光に満ち溢れているという感覚がするものである。最後のシーンは、どうもその躁状態にある時の精神状態、一時のハイテンションのように見えてしまった。もうちょっと、持続的な『何か』(というと抽象的ではあるが)を見せてくれればよかったのだけど。

まあ、そう感じるのは、僕が自虐と自己否定が好きなオタクであるというせいなのだろうなあ。明るくて健全なものに対する嫉妬という、それこそ健全とは言えない感情が出てしまうのだろう。

作者と僕との世界認識の違いを感じてしまった一作でした。

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2005.02.13

「松浦純菜の静かな世界」、読了

松浦純菜の静かな世界」(浦賀和宏)を読了しました。おお、見事なまでに浦賀小説だ。素晴らしい。

浦賀和宏は、1998年に第五回メフィスト賞を受賞しデビューした作家で、メフィスト賞の歴史の中では結構初期に位置する作家ですね。作風としては、青春の青臭いドロドロとした葛藤を中軸に据えたミステリという、当時ではかなり異色の作家だったかもしれない。今では、舞城王太郎とか、西尾維新、佐藤友哉などの作家も出てきていてそれほどでもないだろうか?ともあれ、浦賀和宏が、メフィスト賞において『壊れた世界』系のミステリを書いた事で、その後の受賞の傾向が変わった…かどうかは知らないけど。

この作者の書く作品には、常にドロドロと鬱屈した主人公達の苛立ちと苦しみが主軸にあり、その結果作品全体に異様なテンションと、それと同時にやるせなせを与えている。誰にも伝えられない鬱屈を抱えたまま、他人と上手くやっていくには強すぎる自尊心を抱え込んでしまった少年少女の陰惨な青春を描いたその作品はなかなかほかに類を見ないような気がする。

今回は、その浦賀和宏の久しぶりの新刊。本を出すのは、大体一年ぶりぐらいかな。久しぶりに読んでみた浦賀小説は、やっぱりいつもどおりの浦賀だった。これは新シリーズなんだろうか?主人公的存在と思われる八木剛士は、いかにも浦賀小説らしく、運動も勉強駄目で自意識過剰な高校生。突然の事件に巻き込まれ、妹は意識不明になるものの、本人は無傷で助かってしまう。周囲の無遠慮な視線に苛立ち、また憎悪しながら彼は松浦純菜と出会って…という話。

作品のほとんどが、八木剛士の一人称で進んでいるのだけど、この主人公独白は鬱々とした苛立ちに満ちているので、それが駄目な人は駄目でしょう。しかし、かつて青春を灰色のまま過ごした人間には(僕の事だな)共感できる作品だと思います。昔に比べると大分毒が薄くなっており、一般性も高くなっているので浦賀小説入門書としては良い作品かもしれません。僕は大変面白かった。

ところで、安藤君シリーズの続きはまだかな。一年以上続編が出ていないからなー。

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2005.02.12

「フォルマント・ブルー からっぽの僕に、君は歌う。」、読了

「フォルマント・ブルー からっぽの僕に、君は歌う。」(木ノ歌詠)、読了。…う、うーん。

まあなんと申しますか、改行を多用したあたかも散文詩を思わせるような文体は良いとして、表現が極めて自己完結的と感じてしまうのは僕の読解が足りないのか。作者は、ヒロインをどのように描写をしたかったのかさっぱり分からない。機械のような人間なのか、人間のような機械なのか。それだけでも主題が変わって来る様な気がするのだが、その最初の印象からして曖昧なので、結局何がいいたいのか良く分からないまま読了してしまった。

どうやら、僕とはバックグラウンドが異なる作品だったみたいだ。悪いけど評価不能ということで。

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「私立三十三間堂学院」、読了

私立三十三間堂学院」(佐藤ケイ)を読了。……佐藤ケイってすげえ。

お、面白いなあ。佐藤ケイが本気で学園ラブコメを書いたらこうなるのか…。前から上手いとは思っていたが、こんな作品もさらっと(いや、実際のところは分かりませんが)書いてしまうなんて、この人は本当に萌えの達人ですね。ライトノベル読本とか色々出ていますけど、『萌えとは何ぞや?』という問いには、佐藤ケイに聞くのが一番手っ取り早いと思う。すごく理論的に説明してくれそうだ。

ええと、何の話だったっけ。ああ、作品の話だ。
両親を自己で失い、親戚の家に引き取られてた主人公、後白河法行は、私立三十三間堂学院に転入した。そこは昨年まで女子高だった学校で、しかも、手違いで男子は法行ただ一人という、女子だらけの学校だったのだ…という話。ま、美少女ゲームでよくある(というかあり過ぎる)設定である。

ここで主人公が色々な女の子と出会って恋愛が――という話になれば単なるギャルゲー小説だったのだが、佐藤ケイはそんな素直なことはしやしない。むしろ、法行の周囲にいる女の子(ヒロイン候補)たちに焦点が当たって、それぞれの内面の葛藤やら悪巧みやら暴走やらがドタバタと描かれている。普通のギャルゲーと比べて主客の転倒が起こっているわけだ。

さらに登場人物がたちが異様に多い。31人いるらしいが、さすがに一巻だけでは顔を出しただけのキャラも多かった。こんな事をするのは赤松健だけかと思っていたのだが…。なんとも挑戦的である。

主人公の法行からして、完璧超人のハイスペックな男であるが、クールなナイスガイ(でもズボラ)と、かなり本気でキャラを作りこんでいるようだ。名前と属性、台詞回しでキャラ付けするその手腕はまさに萌え小説のお手本とさえ言えると思う。いや、僕はそんなに萌え小説を読んでいるわけじゃないが、ギャルゲーのシナリオライターは見習って欲しいさえ思った。むしろ、佐藤ケイがシナリオを書いてほしような気がする。佐藤ケイが書いたなら是非やってみたい。

萌えてハイテンションで締めるところはきちんと締めて主人公もきちんと活躍するという、まったくストレスレスな作品である。降参です。

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「奇跡の表現」、読了

奇蹟の表現」(結城充考)を読了した。悪くない。

タイトルを間違えて表記していた事に気が付いた。直しとこう。
電撃小説大賞銀賞受賞作。
一言で言ってしまえば、人生に挫折した男の再生劇。ヤクザ映画、あるいはハードボイルドの影響あり、といったところだろうか。男が少女と出会った時、再現される過去を打ち砕くため男は走るという話。

個人的には、こういうシンプルな話は、もうちょっと細かいエピソードを追加した方が好みなんだけど、その辺は趣味の問題かな。

心に傷を受けた少女は、神様(奇蹟)にすがるしかなく、男はそのひたむきな祈りを無意味にしないために意地を張る。不器用な男の不器用な表現。そう言う話なんだろう。

色々映画を意識した表現が強いように感じた。最後のイラストなど(ちょっとびっくりした)、いかにも映画という感じだ。

しかし、こういうシンプルな話は感想が書きにくいなあ…。

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「ひかりのまち nerim's note」、読了

ひかりのまち nerim's note」(長谷川昌史)、読了。なかなか良い。

電撃小説大賞金賞受賞作。
現代とはちょっと異なる異世界の地球を舞台にした青春小説(ただ、この設定にSF的なものを感じているのだけれど、一巻の段階ではなんとも言えないので保留)。それも青春の、かなり痛々しいところを描いており、青春の青臭さとエゴが表現されているところが大変良かった。

さらに言えば、これは少年が真実を知る話でもあり、そしてその世界の真実は少年に何ももたらすことなく、ただ残酷さを知らしめるというあたり、少年の無力感を表している。

主人公は、父親に反発し、女性に憧れ、友人の恋を知り日々の生活を過ごす。そんな当たり前の生活が、実のところどんなものに支えられているのかという事を知ってしまう過程が描かれて入るように感じた。(ただ、ラストにおける主人公の主張には、そこに至る過程が読み取れなかった。勿論、行っている事は分かるのだが…)

痛々しい少年時代とその通過儀礼をきちんと描いており、良い青春小説ではないかと思う。

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「ルカ 楽園の囚われ人たち」、読了

ルカ 楽園の囚われ人たち」(七飯宏隆 )を読了しました。面白かった。

電撃小説大賞大賞受賞作。
題材としては、SFによくある典型的な終末物に属するように思う。一般的には核戦争ごの地球とか、人類最後の人間など、多くのSF的テーマで語られてきたといって良い(とはいえ、具体的に題名を挙げろと言われると困るが)。しかし、終末物というのはその設定的な面から主人公の孤独感や、あるいは人類の愚かさといった方向に流れやすく(とりわけSFそのものではなく、映画やその周辺のジャンルだと、そうなりやすいような気がする)題材としてはなかなか難しい物だとも思う。安っぽいセンチメンタリズムに陥るのは、それも一つの方向性としては認めるものの安易に過ぎると感じる。

しかし、この作品ではその部分を上手く処理しているように感じた。この物語の語り手である主人公は都市の機械知性体であり(これは冒頭で明かされている)、登場人物たちの生活には直接的には関わっていない。人間とは異なる価値観を持つ彼の視点から語られていることで、ある程度の客観性を作り出しているように思う。

ところが物語はそこでは終わらない。中盤まで終末後の生活を描いた淡々と美しい描写が、ある瞬間から一転する。それまでの落差から、ここは人によっては肩透かしをくらう所かもしれない。だが、それこそがこの作品の重要なところなのだと思う。これは生まれ出ことが出来なかった主人公の誕生と成長、そして挫折の物語でもあったのである。
それが、作者のもつ終わり行く世界へのイメージと相まって、非常に柔らかで、その癖失われてゆく者たちへの悲しみと気高さを作り出していくように感じられる。

『壊れていくものにすら美を見出してしまうのが人間なのだ』というような文章があった。滅び行くものへの暖かな眼差し。消えていくものへの愛惜。生きていくことの悲しみ。何事にも常に終わりがあり、終わりはいつも悲しく、それでもなお記憶と思い出だけはいつまでも残る。そんな美しさがあるように感じた。

全体的に荒削りではあるが、現在、ライトノベルに氾濫するギャルゲー的な『泣ける』小説とは一線を隔した作品であると思う。

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2005.02.11

「食卓にビールを(3)」、読了

食卓にビールを(3)」を読了した。相変わらず変てこな話だった。
どんな話しかと問われると窮するのであるが、とても飄々とした話である。主人公が、何故か毎回宇宙人の事件に巻き込まれるながら、持ち前の物理の知識を生かしてなんとなく解決してしまうというのがお約束である。しかし、毎回発生する事件のSF的設定には趣向が凝らされており、それを本当に高校生レベルの理科の知識で解決してしまう(まあ、僕は理科は苦手だったので分からないところもあったけど)。
以下、各話感想。

『食卓にビールを☆大掃除編』
思い立ったが吉日とばかりに年末の大掃除を始めてしまったら、何故か家の中にブラックホールが発生してさあ大変。宇宙の利権とイデオロギーを巡って根深い対立が引き起こされる。人類の愚かさが見せ付けられる大変教育的な話。間違ってはいないはずだ。

『食卓にビールを☆大掃除編』
珍しく女子高生編。学園七不思議を”捏造”すべく校内を探索する主人公。校舎の屋上でライフルを構えた女生徒を発見する。興味を持って話し掛けると、実は彼女は未来から来た歴史改変者で…という話。過去に起こった出来事を変えるのは無意味だなあ、という教訓を与えてくれます。最後の落ちはありがちだが主人公らしい解決だ。

『食卓にビールを☆喧嘩編』
どこが喧嘩だ。一つの銀河を舞台にしたもの凄くスケールのでかい話。まあ、やっている事は民事訴訟だったりするのだが。宇宙だと不倫も大変だね。

『食卓にビールはありません☆不動産屋編』
何でないの?この話は結構好きかも。不動産屋さんって大変なお仕事だなあ、という話。しかし、駅歩5年、築3分って…どんな家だ。

『食卓にビールを☆降臨編』
川沿いの道で宇宙大戦争…な話。本気で地球の危機アンド宇宙神降臨というハイスケールの話なんだが…なんちゅーオチだ。分かるからって捨てたりせず、マニュアルはちゃんと読みましょうという教訓ですね。

『食卓にビールはありません☆密輸編』
また女子高生編。全然学校生活が描かれないけど。超銀河(略)捜査官(見習)に希少生物モズタンの密輸の嫌疑をかけられてしまった主人公。モズタンの行方を追うサスペンス!…なわけはない。人類って愚かなのね、よよよ…。って話なのかなあ。適当だなあ。

『食卓にビールはありません☆廃墟編』
わお、ビックリだ。主人公が作家らしい事をしたのは初めてじゃないか!…じゃなかった。この話はシリアスだった。己の信じる世界が崩壊した後、男は自分の本当に大切なものに気付く。再びそれを取り戻すべく自らの意思で歩み始めるという話。いや、本当だって。

ああ、面白かった。

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2005.02.10

「ソウル・アンダーテイカー」、読了

ソウル・アンダーテイカー」(中村恵里加)を読了。中村恵里加はヤバイ。やばすぎる。こんな危険な作品を書くとは。驚愕のあまり二回も読んでしまった。

正直に言って、この作品は売れないだろうなあと思わざる得ない。およそ、感情移入と呼ばれるものを完璧に拒否した主人公、カタルシスや起伏に乏しい展開といい、まったくエンターテインメントをしていない。それどころか作品全体を覆うのは、人間に対する冷たく皮肉に満ちた、そして露骨なまでの悪意のトーンだ。中村恵里加の作品は、「ダブルブリッド」もそうだったが、基本的に『人間は決して分かり合うことが出来ない』というスタンスがある。人間は、生きているだけで、お互いの大切なものを踏みにじりあっているのだ、という苛立ちがあるように感じられる。

この作品もまたそのスタンスに則ったもので、ある意味においてはそれをさらに先鋭化したものと言えなくも無い。もっとも、作品自体はありがちとさえいえる設定である。人の死後、エーテルと呼ばれるものが残留し、それが人の思念と結びついて生まれる『さ迷える羊』。それを狩る者たちを『ソウル・アンダーテイカー』、すなわち、魂の葬儀屋と呼ぶ。この話は、人に仇為す羊達と戦うものたちの物語、と言ってしまってかまわないだろう。そういった細部については、よくある『退魔物』とよばれるジャンルであるに過ぎない。だが、この作品の特異な点は、主人公の比呂緒(ひろお)にあると思う。彼女の存在が、この作品をなんとも不安定な物していると感じる。

彼女はまったく現代社会に適応出来ていない。およそ今の社会での基準で捕えれば、まったくの『無価値』ですらある。他人の出来る事が彼女には出来ず、他人が価値を見出すものは彼女にとっては無意味で、彼女が宝石のように大切にするものは、他人にとっては路傍の石と変わらない。そうして、あらゆる人間から『馬鹿』と罵られ、殴られ、侮蔑される比呂緒は、しかし、作品中の言葉を借りれば『怒らず、焦らず、悲しまず、寂しがらず、恐れず、恨まず』、ただ笑うだけだ。いつもぼんやりと笑い続ける比呂緒に、人々は理解を拒絶し遠ざける。恐れ、苛立ち、嫌悪。それらをぶつけられながら、なお比呂緒は笑う。そして静かに泣く。

本当は彼女以外の人々が思うように、彼女が『馬鹿』であるわけではない。ただ、彼女の話す言葉と見る世界と行動する意識が、他の人と違っているに過ぎないのだろう。彼女にとって、学校に行くことよりも、空を眺めて入る方が快く、人々が無自覚に踏みにじる蟻の群れをそっと見守る事の方が重要な事なのだ。

誰にも理解されない比呂緒は、ただ誰かのためだけに生きている。誰にも必要とされない比呂緒は、誰にも振り返られない今にも消えてしまいそうな声に耳を傾ける。『助けてと言われたから。そして自分に助けられる力があるから』それだけで容易く自分を命を賭けてしまう。『人間にはできることとできない事がある。できる事があって、それが自分のやりたい事なら、やればいいのだ』。助けてといわれた。そしてそれ以外には何の理由も無く、彼女は助ける。誰にも理解される事もなく、誰にも理解される事を望まず、ただ為すべき事のみを為す。これは、おそらく『英雄』の物語なのだと思う。なんとなく、テーマ的に『Fate/stay night』に似通ったものを感じた。

おそらくは、この先比呂緒に待ち受けているのは、悲劇しかありえないだろう。どれだけ人を助けたとしても、ある意味において完璧に『壊れて』しまっている彼女にとって自分の幸福なんてものは考える事も出来ず、どこまでも救われない。彼女は、物語が進むに連れて多くの人を助けるだろうが、果たして自分自身を救う事が出来るのか。

今後の展開に注目したい。

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本日の購入物

1、「食卓にビールを(3)」 小林めぐみ 富士見ミステリー文庫

1、今日発売の新刊らしいのだが、同レーベルの他作品と比べるとこの作品だけ異様に高く積まれているのがなんとも寂しい話だ。そんなに売れていないのか…。確かにライトノベルの流行からは完全に背を向けた作風ではあるのだが、いくら何でもあんまりだと思う。面白いのになあ…。

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2005.02.09

「ローマ人の物語(1) ローマは一日にしてならず(上)(下)」、読了

またしても高校の時読んだ本の再読。どうやらマイブームという奴らしい。
ローマ人の物語(1) ローマは一日にしてならず(上)」、「同左(下)」を読了した。

相変わらず激烈に面白いなあ。実を言うとこの本は、僕の人生を変えた一冊というものであったりします。これを読まなかったら、おそらく大学で西洋史学科に入学はしなかったしょうねえ。そう言うわけでいわくつきの本であります。

この作品は、基本的にローマが好きで好きでたまらない著者の、ローマラブを熱烈に綴ったファンレターのような作品で、はっきり言ってエコ贔屓しまくりの公平さの欠片もありません。したがって、これは歴史書ではなく、あくまでも小説として読むべきでしょう。端に古代ローマについて知りたいというのであればこれほどの入門書は他になく、しかし、研究書としてはあまりに偏りすぎな作品。まあ、面白い事は正義だ。問題ない。

この巻は、ローマ建国からイタリア半島を統一するまでの約500年間を描いている。すでにギリシアでは絢爛たる文明の華が開いていた頃、辺境の小国としてゆっくりと、しかし着実に勢力を増して行きながらも数多くの苦難に直面するローマ人の物語である。

この巻は最初の巻というだけあってまだまだ面白さの面では序の口なのだけれど、塩野七生の明朗な語り口によって読者を少しも飽きさせないエンターテインメントぶりはすでに現れている。健全で明朗、豊かな人間性をもった人々を描かせたらこの著者の独壇場ですね。今回はそれほど人物描写に割かれていないけれど、過去のエピソードを持ってくるだけでわくわくしてしまうのは、やっぱり歴史の醍醐味だよなあ。

はっきり言ってもの凄く面白いので興味があれば是非どうぞ。何よりも教養が付きます(あるいは付いたような気になれます)。特に、次の巻で語られるハンニバル戦記は傑作と言っても過言ではありませんね(でも、最高なのはやっぱりカエサル関連かな)。

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本日の購入物

1、「このSFが読みたい!2005年度版」 早川書房

1、いやー買うつもりは無かったのについうっかり…。各出版社の2005年度刊行情報で、早川文庫で秋山瑞人、古橋秀之、桜坂洋が本を出すという記述を見てびっくりして買ってしまった。…いや、それ全然理由になっていないよ!!(自己突っ込み)

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2005.02.08

「ネコソギラジカル(上) 十三階段」、読了

上下二段組で370ページもあるのに、あっさりと読了してしまった。この読みやすさは異常すぎる…。
「ネコソギラジカル(上) 十三階段」を読了しました。相変わらずの戯言っぷりを堪能。

取り合えず、最初に言っときたいのは「これ上中下巻組みかよ!」って事なんだけど、言ってしまったからまあいいや。結局、まだまだ途中もいいところなので、実のところあまり語る事は無い。何か言うにしても完結してからじゃないとねー。それでも言おうと思えば言えるんだけど、巻頭の登場人物紹介にはちょっとびっくりしました。登場人物が多すぎですな。すでに名前とキャラが一致していないんですけど…。しかも、名前しか出てきていない人もいるし…。七々見奈波って今までにまともに登場して事も無いのにフォローが一言も無いんですが…。今回何食わぬ顔で登場する石凪萌太も実は初登場だよな…。ま、いいけど。

前回(いや前々回くらいかな?それとも最初から?)から「物語」というのがキーワードになっている様子です。ラスボスと思われる『最悪』こと狐面の男は、物語を終わらせる男であり、すべての終幕を引く事が目的であると(ここで言う物語というのは大きな物語と捕えてかまわないのかな?)。そこには個人の意思の入る余地はなく、必然的にその他すべての存在を圧殺し省みる事は無い。それに対して『戯言使い』こと”いーちゃん”は、何も選択をしないという自らのスタンスを崩し、ついに誰かのために行動し始める。その動機には、自らの身を守るという消極的なものから脱して、みいこさんを助けるという極めて個人的な、それでいて感情的な行動原理であり、そのような行動原理を「信じ込んでいるように見える」”いーちゃん”が存在する。

さて、現在のところ、この2人は(狐面の男が意図したように)宿命のライバルのように見える。しかし、実際のところ、狐面の男が必要としている「敵」という存在の意義がまだ良く分からない(僕がね)。また、本来誰よりも”いーちゃん”を束縛するはずの玖渚友が、ひどく寛容で”いーちゃん”の自由意志を認めているかのような発言をしている。また彼の周りにはそれまで関わってきた様々な人たちが助けてくれているし、今こそ”いーちゃん”が世界と関わっているという実感を得ている状況なのであろうと思う。

しかし、そう言う実感というのは何かのきっかけですぐにひっくり返るものなのだ(個人的体験だが)。もしかすると西尾維新の考えが最近は変化して、多少は前向きな意思を肯定的に表現しようとしているのかもしれないが、それよりも、今のどこか生ぬるい展開は、どこか不安定感を増大させつつあり、次巻以降の展開に不安を感じずには入られないのが正直なところだ。考えすぎかね?

まあ、とにかく続きを読まない事にはしょうがない。中巻は、もう少し早く出してくれるとありがたいですねえ。これで放置されたら拷問ですよ…。

あ、そうそう。今回は闇口崩子ちゃんが大活躍というか大フィーバーですな。すさまじいまでのあざとさでキャラが立っております。…次の巻あたり死にそうな気がしてきた…。

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本日の購入物

1、「ソウル・アンダーテイカー」 中村恵里加 電撃文庫
2、「ルカ 楽園の囚われ人たち」 七飯宏隆 同上
3、「ひかりのまち nerim's note」 長谷川昌史 同上
4、「私立!三十三間堂学院」 佐藤ケイ 同上
5、「奇蹟の表現」 結城充孝 同上

い、痛ッ!つーわけで電撃文庫の新刊発売日でありました。うーむ、会社帰りにライトノベルを大量購入なんて典型的なオタクサラリーマンの所業でござるな…。ちょっと思い浮かべてみねえ、会社帰りでスーツ姿の20代半ば(まだ半ばだ)のサラリーマンがライトノベルをごっそり買って悦に言っている様を…見るに耐えませんわ!耐えませんわ!(何故オネエ言葉に…しかも二回も…)。

自虐はこれくらいにしてコメントでーす。
1、うわーこの作者の本は久しぶりに見たよー。「ダブルブリッド」は大変話が佳境に陥ったところでもはや数年来放置プレイ中ですが、その間に新シリーズを書いていたんですね…。まあ、のんびり待っておりますので完結させてください「ダブルブリッド」。
2、第11回電撃小説大賞大賞受賞作。ここ最近(たぶん5、6年位前から)大賞受賞作って、大抵一般性を重視した作品が選ばれる事が多いと思う。なので、実は大賞が一番ライトノベルらしからぬ作品が受賞するんだよな。いや、この作品がそうというわけではありませんが。
3、そしてこれが金賞受賞作。金賞は…傾向としてはどうなんだろう。分からん(おい)。個人的にはこれが一番面白そうな気がするんだがどうだろうか。どうやら本気でファンタジーっぽいが、電撃文庫でファンタジーって売れないんだよね…。
4、で、銀賞受賞作…では無い。第7回の金賞受賞作家の佐藤ケイの新シリーズ。この人はちょっと凄いですよ。およそオタクが考えうる萌えと泣きのツボというものを完璧に理解し自在に操ることが出来るという意味で、ある意味達人。僕の趣味とはかけ離れているが、そのクレバーさは実感できる。かっこいいぜ!
5、こっちが銀賞受賞作。大抵、一つ飛びぬけた”なにか”が注目されて受賞というケースが多いのかな。しかし…、元ヤクザの親分でサイボーグが主人公か…。なんだか面白そうだぞ…。

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2005.02.07

本日の購入物

講談社ノベルズの新刊がようやく発売です。どれも分厚いなあ…。

1、「ネコソギラジカル(上) 十三階段」 西尾維新 講談社
2、「鏡姉妹の飛ぶ教室 <鏡家サーガ 例外編>」 佐藤友哉 同上
3、「松浦純菜の静かな世界」 浦賀和宏 同上
4、「フォルマント・ブルー からっぽの僕に、君は歌う。」 木ノ歌詠 富士見ミステリー文庫

1、すいません、実は西尾維新が好きなんです。とゆーわけで、延々と延期しまくっていた戯言シリーズ最新刊にして最終章…らしい。でもたぶん続くとみた。零崎シリーズとか。
2、すいません、実は佐藤友哉も好きなんです。久方ぶりに講談社から本が出ました佐藤友哉。なんだかんだと言って愛されている作家だな。僕も結構嫌いじゃない。しかし、最近の佐藤友哉はちょっとどうかと思わないでもない。ちょっとマッタリしすぎですよ。もうちょっと負の方向への情熱がないとユヤタンじゃないっ(何者)。
3、すいません、実は浦賀和宏って好きなんです。個人的にはこの人、メフィスト系では西尾維新や佐藤友哉の正しい意味での先輩だと思います。「壊れた世界で壊れた人間」を描くっていうのは、メフィスト系ではこの作者が始めてやったんじゃないかなあ。
4、すいません、何故か買ってしまいました。面白いらしいという噂を聞いたもので。…えらくあやふやな動機だなおい。面白いと良いのだがなあ。

すいません、このネタは面倒な上に面白くないという事が分かりましたのでたぶん二度とやらないと思います。難しい…。

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2005.02.06

航路のネタ

航路を読んでいたら思いついたことがあったので書いてみる。避けるようにはしているが、多少ネタバレっぽいところも出てしまうので注意して下さい。
 
 
この作品の主要なテーマに、「伝える」という事がある。このテーマは徹底していて、作品のほぼ全編に渡って、「伝える」事の困難さを描いているといっても良い。これについて深く追求するとネタバレになってしまうので避けるが、「航路」を読んでいると、他人と話をしていて自分の言葉が相手に理解されないという焦燥感を思い出した。
 
 
話は変わる。
作品内で幾度も登場する「メタファー」と言う言葉がある。すなわち、ある事柄についての関連性を見出す事で象徴的に物事を理解しようとする事だ(間違っているかもしれないが、この作品からはそのように受け取れた)。この事はコミュニケートの困難さを克服する方法として用いられていたが、これは『物語る』という行為とも深い関わりがあるのではないかと感じた。例えば、小説に描かれている行為は現実に起こったことではないのは勿論だが、なんらかの出来事(作者の持つ「経験」あるいは「テーマ」と言い換えてもいい)を象徴的に表しているのではないかと感じた。描かれている事は、必ずしも作者の体験そのままではない(そのままだとノンフィクションや自伝になってしまう)が、かつてあった出来事に通じる関係性、それを新たに肉付けする事で、時代や世代を超えた普遍性を獲得できるのではないか。現実に起こった出来事そのものはすぐに風化してしてしまう事から、時間という絶対なる無慈悲さに対抗するためには、「メタファー」というからで包んだ「物語(フィクション)」が必要になるのかも知れない、と思った。

と書きながら気が付いたのだが、別段フィクションだって時間がたてばすぐに風化するし、そのことを考えると上記した事はあんまり意味が無いような気もしてきた。むむう。

でも忘れると勿体無いので消さずに残しておく事にしよう…。

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「航路(上)(下)」、読了

航路(上)」「同左(下)」(コニー・ウィリス)を読了した。もの凄く、とんでもないほどに凄い作品。一部の人間ではなく、多くの人が読んで楽しめると言う意味では、こういう作品こそ傑作と言うのかもしれない。まあ、本の厚さに恐れをなさなければだけど(でも、それで読まないのは凄くもったいないなーと思う)。

それにしても、コニー・ウィリスは小説が上手い。上手いと言うのにも色々あると思うのだけど、この作者の上手さというのは、読者の興味をそそりつつ、かつ簡単には満たさず、ここぞと言うところですべてを明らかにすることによるカタルシスを演出できるところにあるのだと思う。別の言い方をすると、馬の鼻先に吊り下げられた人参のちらつかせ方が上手いと言う事だ。何しろ、第一部からして(この作品は三部構成だ)、主人公である2人、ジョアンナとリチャードが直面する問題が解明されそうでされないお預け状態が続いており、そのいっかな進まない展開に、早く何とかしてくれよ!、と叫びたくなる事もしばしば。そのイライラ感まで作品のページをめくる原動力になってしまうのだから始末に終えない。作者の手のひらの上を踊ってるなあ…。

しかし、コニー・ウィリスが凄いところはそこだけに留まらない。第二部に入ると物語のスピードは加速度的に早まり、次々に謎が解けていくカタルシスと、真実のテーマが明らかにされていく感動のストーリーが展開される。ここのスピード感は素晴らしい。しかも、そこからさらに二転三転の大どんでん返し。感動の結末へと進んでいく。白状するが、結末近くには、自分の感情のうねりを抑えられなくなってしまった。本当に泣きそうな気持ちにさえなった。目に涙ぐらいは浮かべてたかもなあ…。色々本を読んでいるが、ここまで感情を揺さぶられるのは珍しい。この前は「ぺとぺとさん」…しまった最近だった!まあ、それはともかく。

この作品がそれほどに胸に迫るのは、たった一つのとあるテーマが明確にある所為だと思う。それを語るのはひょっとしたらネタバレになってしまうので書くつもりは無い。ご容赦の程申し上げます。

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2005.02.04

本日の購入物

最近、「天才現役高校生作家デビュー!」という話題で有名な(だと思う)、日日日(あきら)氏の本がぼちぼち発売されておりますね。しかし、こういう話題の上げられ方をすると購入意欲が削がれるなあ…なんていうのは普通の捻くれ者の発言ですか。工夫が無くてすいません。

1、「デスノート(5)」 原作;大場つぐみ 絵:小畑健 集英社
2、「NARUTO(26)」 岸本斉史 同上
3、「武装錬金(6)」 和月伸宏 同上

今日は疲れたので簡単に。全部ジャンプ漫画です。
1、みんな大好きデスノート。それにしても、あの絶対絶命な状況から白紙に戻すとは…凄い策謀だ(作者もライトも)。しかし、今回はヨツバキラ編になるのだが、ジャンプの方じゃすでに佳境だからな…。単行本では頭を切り変えて読まないとなー。
2、あれ、第一部完まで行かないの?中途半端なところで区切るなあ…。ナルトとサスケの対決もついにクライマックス。いやー面白いなあ。お互いを認め合う親友同士が求める信念の相違からぶつかり合い、決別する。そして、それぞれは光と闇の道を歩み始める…やべえ、たまらん。
3、斗貴子さんの水着と剛太の純情の巻。最近、この作者は開き直ったのか?みょーにエロスが開放されているぞ…良い事だ。

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2005.02.03

「熱帯」、読了

熱帯」(佐藤哲也)を読了しました。………開いた口が塞がらないとはこの事か。

いやはや…佐藤哲也はやっぱり凄い。つくづくオンリーワンの作家であるという事を強く認識した。
この作品は、もはや面白いとかつまらないとかそう言う事象をすでに超越している。さらに、この作品ほどに他人にあらすじを説明するのに途方にくれる作品もない。脱帽です。

一言で内容を表すなら、【「イリアス」風叙述形態に則ったIT業界風雲録、のようにみせかけたイデオロギーの不毛さを風刺したユーモア小説かと思ったけど実はギリシャ哲学への愛に溢れた真理探究の物語であるという事実は無いのでやっぱりスパイ小説なんじゃないかなあ、と妄想するもののきっとこれはファンタジーなんだろう】です。これ以上内容を要約できません。僕には無理です。

はっきり言って一行進むごとに分けのわからん世界が表出し、一体何を言っているんだ!と叫びたくなりつつも、作者の超絶技巧によってリーダビリティは極めて高い。本当につるつると頁をめくってしまう。内容が全然わからないというのにこの読み易さは異常ですよ!

全体的に荒唐無稽なのに、IT産業の悲哀を描いているシーンは、なんだかもの凄いリアリティがあった(作者はSEだったっけ…)。分けの分からん方針を打ち出す大規模プロジェクトの責任者、ころころ言う事が変わるユーザーなど、思わず読んでいて胃が痛くなりそうだった。

さらにそこから天上の神々(いるんですよ…)が好き勝手に介入してきやがるものだからもうわちゃくちゃです。で、てっきりそっちの方向話が進むのかと思ったら、突然「愛国的気候論者」(まあ、エアコンを破壊するテロリストだと思いねえ)が暗躍するスパイ小説になってしまって…。凄すぎです。

とにかくタイトルの通り、まるで熱にでも浮かされたような支離滅裂、奇妙奇天烈なハイテンションに彩られた作品です。とにかく凄いとしか言いようが無い。おそらく僕は、この小説の半分も理解できてないんだろうなあ…。

(ところで「弁証戦隊ヘーゲリアン」の続きが気になる。あと「プラトン・ファイト」の決着はどうなったんだ?ソクラテスが勝ったのか?気になってしょうがない)

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2005.02.02

「ブラック・ベルベット 神が見捨てた土地と黒き聖女」、読了

ブラック・ベルベット 神が見捨てた土地と黒き聖女」(須賀しのぶ)、読了しました。まあ、面白い。

いつものこの作者の作品でした。伝奇分は少なめで、アクション分はそこそこに、女の子の友情物語としての配分が7割ぐらい(推定)。読むまで全然気が付かなかったのですが、この話は、『育ちの良くて完璧超人なお嬢様』と『心に傷を持つ不良少女』と『夢見がちな乙女チックな女の子』が出会って、意気投合して友情を育む話だったのでした。成る程、これならコバルト文庫というのにも頷けます。というか、これって学園物でも問題のないキャラクターだな…。

正直に言ってこの巻だけだと話がさっぱり動いていないので、早速、来月に出るらしい続刊に期待したいと思います。

ところで、常にジェントルマンで女性に優しく毅然とした態度で事に臨む老紳士、グラハム氏が大変良いな。僕の爺萌えポイントを突かれました。萌え。

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本日の購入物

「風の歌を聴け」と「1973年のピンボール」と「羊をめぐる冒険」は三部作になっているので、読むのならこの順番に読むことをお勧めします(私信)。
 
 
1、「死者の奢り・飼育」 大江健三郎 新潮文庫
2、「ノルウェイの森(上)」 村上春樹 講談社文庫
3、「同上(下)」 同上 同上
4、「翼ある闇 メルカトル鮎の最後の事件」 麻耶雄嵩 同上

1、本屋に行ったら、突然、『自分は大江健三郎を読まねばならぬ』という使命感に駆られたので購入。何故かは知らない。とりあえず、高校生の時に読もうとして途中で挫折したこの本を買ってみた。リベンジというやつだ。
2と3、本来は間に色々と出ているはずだったのだけど、寄った本屋ではこれしかおいていなかった。まあ、「ダンスダンスダンス」の前には読んだ方が良いような気がする。感だけど。これも再読。前は学校の図書館で借りたのだった。
4、シリーズ探偵の第一作なのに、最後の事件とはこれいかに。僕は京極夏彦以前のミステリに詳しくない事もあるので、勉強をかねて購入。新本格第二世代というらしい。難しいなあ。

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2005.02.01

「羊をめぐる冒険(上)(下)」、読了

羊をめぐる冒険(上)」「同(下)」、を読了しました。すごく懐かしい気持ちになった。

この作品は、実は高校生の時に読んだことがありますので、正確には再読です。とは言え、内容は8割方忘れてました。何を読んでいた、高校の時の自分…。まあ、読み進めていくうちに段々記憶のある場面が出てきて、さらに未だに覚えているフレーズが出て来たりして、ああ自分の中には村上春樹が根を下ろしている部分があるのだなあ、なんて事を思ったりした。

さて、今回この三部作を通読してみたところ、「羊をめぐる冒険」だけ作品のカラーがまったく違う事に驚かされた。この作品は『探し求める物語』ですね。これ以前ものが『喪失し続ける物語』であったものが、ついには無くす物さえ無くなってしまい、新たに探し始めるという話なのかな、と思った。

しかし、この物語が救われない事は、そのようにして何か価値あるものを探し出そうとしても、それすらも何者かによって与えられた価値観であり、そしてそれによって得たものは、本人の意思に寄らず必ず失われていく事が宿命付けられている点ではないかと思う。結局、<僕>は捜し求めたものを見つける事が出来たのか、出来なかったのか。どちらにせよ、決定的な、そして最終的な物を失ったってしまった事は間違いない。そう考えると、やはりこの物語もまた『喪失し続ける物語』であったのかと思う。否、むしろ『喪失した物語』となったのか。そこでは、すでに失われてしまった事は過去の事となっている。では失われたものがなんだったのかといえば、それは青春であった、というのは我ながらセンチメンタルすぎて気恥ずかしい。

こんな事を感じるようになったのは、自分も20代半ばを過ぎて年をとってしまった所為なのかなとも思った。

全然、話は違うのだが、この三部作において『女性』の存在の曖昧性が気にかかった。<僕>にも<鼠>にも多くの女性が関わるのだが、しかし、どこまで言っても透明な、あるいは象徴的な存在に留まっている。この時点での村上春樹にとっては、女性というものは地に足をついた存在ではなく、どこか偶像的な印象がある。しかし、「羊をめぐる冒険」では、初めて顔の見える女性が<僕>の前に姿をあらわし、しかも、<僕>を導き教える重要な役目を背負っているのだが、やっぱり物語の終盤で唐突にその存在感を消失し、<僕>の前から姿を消してしまう。このあたり、女性に依存しているわりに、女性の存在を認めていないような感じがしてどうも落ち着かなかった。別にフェミニズムの論調で言葉を発するつもりはないが、奇妙にバランスを欠いている印象がした。

なんとなく気になったので、他の村上春樹の本も再読してみようかと思う。

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本日の購入物

今日はココログの調子が悪いな…。

1、「ブラック・ベルベット 神が見捨てた土地と黒き聖女」 須賀しのぶ コバルト文庫

1、タイトルが長いなあ…。ともあれ、「流血女神伝」の作者の新シリーズであります。ジャンルとしては…伝奇アクション西部劇?相変わらず独自の路線を突き進んでおりますねえ…。何でこの人がコバルト文庫で書いているのかが最大の謎だと思う。

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