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2005.01.22

「トウヤのホムラ」、読了

トウヤのホムラ」(小泉八束)読了しました。………滅茶苦茶面白いのだけど…これ。僕だけか?

船津東哉は”神”である。人間の両親から生まれ、戸籍を持ち、人権だってあるが…紛れも無く現世に降臨した八百万の神の一柱だ。しかし、現在は、その力を恐れた船津一族によってその力を奪われ、封ぜられていた。ある時、東哉が封じられていた社に、従妹の麻里が訪れた。なんと、条件付きで封印を解くと言うのだ。東哉はその意図をいぶかしみながらも受け入れる。自らを封じ込めた船津一族への復讐を誓いながら…。

いやーもう楽しいなあ!何が楽しいって、絶対的な力を持ちながら封印され使役される東哉とか、気丈な態度の裏に東哉への思慕を隠し持った麻里とか、それに全然気が付かないどころか憎悪を抱え込んだ東哉とか、そのくせお互いを意識していまうという愛情と憎悪が交錯する主従関係とか、船津一族の当主の座を巡って繰り広げられる陰謀、勢力争いとか、それに巻き込まれながら船津に対する憎悪の念を募らせる東哉とか、それすらも利用とする奴らとか、お互いを陥れようと迂遠かつ腹に一物を隠し待った会話とか。作者め、よくもここまで僕の大好物を揃えたものよ…やるな。

まーこの作品の肝は、やっぱり東哉と麻里の関係なんでしょうかね?お互いを意識しながらも、立場と積み重ねてきた年月のため潜在的には敵対関係とならねばならない2人。ん?これはロミオとジュリエットの変形なのか?あとヘルシングとかも入っているのかな。

逆にストーリーそのものはどうということも無い。突然、事件が起こって終わる。この巻はキャラクター紹介の話みたいだなー。事件の方はオマケみたいなもんか。真面目にストーリーを書こうと言うなら、どう考えてもページ数が足りなさ過ぎる。東哉と麻里のやり取りだけでほぼ5割(推定)を使っているからな…。少なくとも今より2倍は長くして、脇役をもう少し描いて…結局事件はどうでもいいのか。

ま、とりあえず、この調子で東哉君には、猛り狂う荒神としての側面は忘れないで欲しいなー。この作品は、愛と憎悪と欲望という微妙な天秤の上で成り立つ駆け引きと、それに伴う感情の綾が大変面白い作品なので、東哉の僅かでも気を許せば即座に食い破られる憎悪が失われると、単なるラブコメになりかねん。たのむぜー。

ところで、表紙の絵は大変良いのだが、本文と口絵の方はもう少し何とかなら無いのか。ライトノベルの通例とは言え、もう少し何とかして欲しい。

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