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2005.01.12

「ミナミノミナミノ」、読了

ミナミノミナミノ」(秋山瑞人)、読了しました。

まったく秋山瑞人ってのは器用な作家だな…。「イリヤの空、UFOの夏」と同じようなSFボーイミーツガールをテーマにしながら、ちゃんと違う話になっているんだもんな。

今のところ前振りが明かされた段階なので、きちんと評価する事は出来ないしするつもりも無いですが、やっぱり面白い。「イリヤ~」と異なり、主人公が世慣れて行動力があるのが目を引きますが、その主人公の経験で対処しきれなくなった時の狡さ、弱さが痛々しくもありほろ苦くもあり。

ところで、本筋とは全然関係ないのですが、主人公が宴会で歓迎されるシーンで

ここだ。
正時は、にへっ、と笑ってこう言った。
「時間を延長してくれって頼んだら断られました」
~中略~
「お客さん」でいるうちは駄目なのだ、最後の最後で打ち解けさせてはくれないのだ。

という場面がある。この抜き出した文だけ読んだのでは良くわからないと思いますが、要するに島にやって来た主人公のために歓迎会が開かれたシーンですね。周りにいる人はほぼすべて初対面。転校8回のベテランの「よそ者」である主人公は要領よく立ち回ります。

実はこのシーンには、ちょっとショックを受けました。自分には出来ない事だなーという事がはっきりと分かるから。出来ないから人間関係に苦労しているんだよなーみたいな。そういうことが必要だとは理解していても、時折何もかもが面倒になってしまう瞬間があって、愛想笑いが嫌になる。建前の存在する人間関係が嫌だという生理的な嫌悪感からでる子供じみた感覚なのですけどね。
俺って大人じゃねえなあ、と言う事を思い知らせられる瞬間だったりします。

さて、話がずれてしまいました。戻します。

何が言いたいのかといえば、つまるところ、咄嗟に自分の過去、経験を振り返らせるだけのリアリティがそこにはあったということです。それだけ心理、状況の描写力がずば抜けていると言う事なんでしょうね。文章を読んでいるだけでそのシーンをイメージとして想起するだけでなく読者の経験をも呼び起こすというのは、丁寧で現実にもとづいた描写なのだと思います(僕だけかも知れませんが)。

ここできちんと主人公の背景を描写しているからこそ、「友達になれましたか?」のシーンの説得力に繋がっていくのだと思います。

僕が秋山瑞人に求めているのは、そのような描写の説得力なのだなーなんて事を思いました。

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