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2005.01.17

「gift」、読了

gift」(古川日出男)を読んだ。とても良い話だった。

この本は19編のショートストーリーからなる短編集である。ショートショートと言っても良いかも知れない。どの話も短いだけあって、普段、長編で見せられる饒舌に饒舌を重ねられる文体はやや抑えられ、そっとささやきかけられるような、静謐な雰囲気さえ感じられる。

それぞれの物語は(一部共通らしき設定、人物はいるものの)独立している。また、内容も様々で、愛の物語であったり、絶望の物語であったり、世界と戦う話だったり、なんでもない日常の話だったする。短い話の中の、ほんの一瞬の感情、それらを切り取り読者に対して差し出された作品集だ。

基本的にどの話も好きななのだが、あえていくつか選ぶとするなら「オトヤ君」、「小さな光の場所」、「雨」、「天使編」だろうか。身も蓋も無い絶望の話である「オトヤ君」は、非常に分かりやすい話で、本当に身も蓋も無い。「小さな光の場所」は、郷愁とでも呼ぶのだろうか?あの日、あの時、あの場所の特別さを暖かな筆致で描いているのが好ましい。最後の一文には不覚にも涙が出そうになった。「雨」はストーリーも何も無く、ただ生きることの脈動を語る作品。もしかすると、これは『少女』の戦い(=生存)の話なのかもしれない。「天使編」はまるで長編小説の一節を抜き出したようなお話で、一人の女性が未知へ旅立とうとする様子を高揚とともに描いている。僕はこの話が一番好きかもしれない。

静かで飄々とした筆致は、普段の古川日出男とはいささか異なっているけれども、やはり胸の奥を揺さぶるものがある。
読んでよかったと思える本である。

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