« ゲームの話 | トップページ | やりやがった…ッ »

2004.09.29

宿題は夏休みぎりぎりでやるタイプです

タイトルに意味はあんまり無い。

「神樹の館」、ふたつ目のシナリオをクリア。一プレイはあんまり長くないのは、社会人には助かります。
途中でやめるのはストレスがたまるよう…。

しかし、最初の選択肢から分岐するとは…主人公の動機まで異なっていると言うのは、なかなか斬新かもしれませんな。

さて、久しぶりに本の感想などをやってみたいと思います。
数が多いので、簡単に(手抜きとも言う)。

ブラックランド・ファンタジア」定金伸治 集英社 (小説)
ヒロイン設定がかなり酷い設定なのですが、その割には病的な印象は受けない。と言うか、それこそが問題なような気もする…。何故にこんなほのぼのとした話になるのだ。もっと、ほら、日常生活面で大変なことがあるだろうが。トイレとか。細かいディティールをないがしろにするのは感心せんなー(とりあえず黙っとけ)。

それはともかく、主人公よりも圧倒的に頭脳は凌駕していながら、日常生活のあらゆる面で主人公に依存せざるを得ないヒロインの設定は…なんかちょっと嫌な感じがする。個人的な趣味の問題かもしれないけど。例えば、幼女というモチーフにも似た、いわゆる男性側の所有欲、支配欲を肯定していると言うか…。意識的なものか、無意識かは分かりませんけどね。

内容自体は結構面白いと思う。相変わらず、描写が淡々としすぎているのが問題だが。
きちんと話は作っていると思うが、プラスαが欲しかった。惜しい。


屍の王」 牧野修 角川ホラー文庫 (小説)
相変わらずの牧野節であります。ドロドロぐちゃぐちゃ。うーん、この変態め(褒め言葉)。
問題点があるとすれば、ホラーとしては全然怖くないと言う事か。なんと言うか、描写はもの凄く気持ち悪いんだけど、怖がらせ方がお化け屋敷的というか、大味なんですよね…。そーら、すごいだろう?こんなのまで出て来るんだぞう、みたいな。芝居がかった、大袈裟な怖がらせ方で、怖いと言うよりスペクタクル。ハリウッド映画のホラーみたいなものかなあ。
これはこれで悪くないのかもしれないが…。

気持ち悪くて嫌な描写は芸術的といって良いと思います。牧野修って、まさにディティールの作家だよな…細部へのこだわりは本当に凄い。逆に物語自体には興味があんまり無いようなのが残念ではあります。最後の落とし方なんて、もの凄い投げやりなオチで、あまりの手抜きぶりに開いた口がふさがりません。
…たぶん、結末を考えるのが面倒になったんだろうな…。

結構昔に書かれた話らしく、IT関連の話題がすごく古く感じてしまったのはちょっと残念。
時代の流れに抵抗する事って大変な事ですね。


アクアリウムの夜」(稲生平太郎、角川スニーカー、小説)
とても美しいジュブナイルホラー。冷たく冴え冴えとして、そのくせ混沌とした印象の話。僕はこれ好きだなあ。
これもお話の小道具は古いといえば古いのだけど(こっくりさんとかUFOとか)、ジュブナイルホラーとしての価値はほとんど減じてはいない。なぜかと言えば、主人公たちが感じる不安感、焦燥感が物語の軸になっているためではないかと思う。こういった原始的な感情と言うのは時代の流れに左右されないのかもしれません。

まあ、この話が、現在の高校生ぐらいの年代の共感を勝ち得るのかどうかは分からないですけど…。これは、「かつて高校生だった人たち」向けの話のような気がするなあ。失われてしまったかつてのあの気持ち、それを思い起こさせるようなお話でした。ラストの絶望感も、ジュブナイルとしては正しいと思う。

こーゆー事を書いていると、自分も歳を取ったもんだと思います。

ネフィリム 超吸血幻想譚」(小林泰三、角川書店、小説)
むう…。普通、だよなあ。小林泰三がライトノベルを書いてみた、と言う印象だろうか。
小林泰三の十八番(ドロドロスプラッタ、ハードSF要素、リリカリズム)を薄くしてみましたが、本来注入するべきライトノベル特有の青臭さを忘れてしまったので、単に密度が薄くなっただけでした、みたいな。
ギミックは色々面白いんだけどなー。例えば自分の肉体を損壊しながら敵を殲滅する「内骨格」は無残にして格好いい武器だ。兵器としても良心的(…)だし。他にも復讐のため、知恵と勇気と科学武装で吸血鬼どもを殲滅するおっさんとかかっこいいよなー。
これで、思春期の若者が好むようなもの(恋愛、ナイーブ、不安感、焦燥感、哲学とか)がたっぷり含まれていれば面白いライトノベルになったんだろうけどなー…。もったいない。

話は変わりますが、ライトノベルを書くにはある程度の資質が無いと駄目なのかも知れないなあ、と思いました。要するに思春期特有のべっちょリしたものを持ち続けている人というか。まあ、べっちょり感に特化すると文学になってしまうのが難しい所ではあります。

ROOM NO.1301〈3〉同居人はロマンティック?」 新井輝 富士見ミステリー文庫 (小説)
うわー…すげーなー…。
なんと言っても、とにかく描写がエロい。エロ過ぎる。別に直接的な描写があるわけではない。無いのですが、そこに至るまでの過程があまりにも生々し過ぎる。設定自体はかなりぶっ飛とんでいてリアリティの欠片も無く、展開もまたありえないとしか言いようが無い異常な状況なのだが、そこにいたる過程には、何故かリアリティがある。謎だ。

内容は、はてしなーく生ぬるい連帯関係を描いているいわゆるエロゲー的世界であります。主人公は、色々な女の子に出会って、どんどん関係を持ってしまうのだけど、なぜかそれがゆるされてしまう人間関係…。こういうのはハーレムものというのだろうか…。
本来、あまり僕が読むタイプの本では無いのですが、この物語には、前述の通り奇妙な説得力があるため、何故か読むのがやめられないという…。

恐ろしく奇妙な物語だよなー。

僕にはこの小説が理解できないので批評は出来ません。でも完結まで全部読むと思う。


推定少女」 桜庭一樹 ファミ通文庫 (小説)
これは良いものですよ。見事なまでのジュブナイルであります。
桜庭一樹は、普通のキャラクター小説を書くのも上手いのですが、同時に、欠落を抱え傷つきやすい少女の心の機微を描くのがとても上手い作家だと思う。まあ、正直な所、僕はきちんと読み取れているのか自信が無いけど(女性の心理は分からないし…)。

主人公の少女と、それに対する大人達の間に横たわる徹底的な断絶の描写はかなり痛々しい。理解されない少女の、理解しようとせずレッテルを貼りたがる大人という図式は、僕のような年代に入るとかなり痛烈にわが身に迫ってくる。このあたり、思春期の閉塞と孤独感を表しているように感じました。

まあ、今の僕は良くも悪くも大人の立場からしか読めないので、ここに出てくる大人達も、色々あるんだろうなーと思ってしまう。そう思わせられるところが、この作品の懐の深さですね。紛れも無くジュブナイルの系譜でありながら、単に大人を悪者にするような、子供に媚びた作品にしていないと言うか。

大人は大人の理屈でしか物事は語れない。しかし、それならならば、理解出来ない事に勝手なレッテルを張ることも辞めるべきなんじゃないかなあ、とか。
そんな事を思いました。


ま、とりあえずこんなところで。

|

« ゲームの話 | トップページ | やりやがった…ッ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/1553404

この記事へのトラックバック一覧です: 宿題は夏休みぎりぎりでやるタイプです:

« ゲームの話 | トップページ | やりやがった…ッ »