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2004.06.30

復活の地Ⅰ読了

来た。

来ました。

プロローグを読んだ瞬間、傑作の香りがしましたよ(僕限定)。
読んだ瞬間に「これは間違いねえ!」と確信できたのは、最近ではマルドゥック・スクランブル以来ですね。

惑星統一を果たしたレンカ帝国の首都トレンカにおいて、突如として大地震が起こった。その地震は、首都に想像を絶する被害をもたらし、さらには国会を瞬時に壊滅させた。政策をとるべき皇帝、政治家たちのほとんどを失い、レンカ帝国は未曾有の危機を迎える事になる。植民地総督府の官僚であったセイオは、国会に向う最中に災害に直面する。セイオは己の職分を果たすべく被害者の救助に全力を注ぐが、しかし、そのセイオの前に立ちはだかったのは、お互いの足を引っ張ることしか知らない無能な官僚達であった…。

熱い、熱すぎる。
圧倒的な苦境の中、しかし、己の信じるもののため、不条理に抗い立ち向かうと言うのは、まさしくヒーロー物の王道とすら言えるでしょう。そのヒーロー物の王道のストーリーを、主人公を高級官僚、立ち向かう敵は大災害、障害となるは味方である筈の官僚と置き換えた話と考えてみると面白いかもしれません。

大枠としては災害パニック物であり、非常時における人間の愚かさがひたすら書かれているわけですが、この作者の特徴として、常に物語に希望を求める傾向があり、決して後味は悪くありません。
主人公のセイオや、善意の人たちの行為は決して無駄にはならない為、非常に安心感があります。この辺は、逆にご都合主義と避難されかねない所ですが…。
そこは、作者の個性でしょうね。

また、キャラクター小説としても大変面白く、主人公のセイオを単純な熱血漢にしなかったのも良かったですね。むしろ、冷静で皮肉屋で権威におもねることなく、また人間性に対しても見切ってしまっているような屈折を抱えたキャラクターとなっています。その分、彼が職分を果たそうと言う姿にたまらない熱さが引き立つように思いました。
初登場のシーンからしてかっこいい。

色の濃いデータグラスの向こうに、かすかに瞳が透けて見えた。スミルは、彼のどの言葉よりも確かなものをそこに見た。涙も涸れ果てたように充血しきって、底知れぬほど深い疲労とやり場のない怒りがたたえられていた。けれども、それらの凶暴な情念をねじ伏せるだけの強靱きわまりない意志の火も、そこにあった。

た、たまらん。

一巻の段階では紛れも無く傑作。全三巻との事なので、今後の展開が期待されます。
終わり方次第では、SF大賞も夢じゃないじゃないかな…と妄想中であります。

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コメント

えーっと。すまん。
面白いのは分かったんだが、「導きの星」とか「第六大陸」とは関係あるの?

この作者のはちょっと興味があるので、まとめて読もうとは思っているんだが…。

投稿: 背徳志願 | 2004.07.01 17:26

関係ないですね。ノンシリーズものです。
最初は「導きの星」が良いのではないかな。

第六大陸はプロジェクトXとか好きなら。僕は好きだけど。

投稿: 吉兆 | 2004.07.02 00:51

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